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矯正歯科コラム 一覧

2016/5/20
目立たない矯正装置3
食事のときには、マウスピースをはずすと何の問題もなく普通に食事ができます。通常の装置では、舌や頬に矯正装置がひっかかったりして、食事がとても大変で憂鬱になってしまいます。・・・・

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2016/5/10
目立たない矯正装置2
マウスピースとは口の中につける装置の総称です。そのすべてが歯に装着するものとなります。マウスピースにはいろいろなものがあり、目的によって使い分けます。また、作製方法や装着時間、厚みなど、・・・・

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2016/5/1
目立たない矯正装置
「矯正装置で見えない?そんなものがあるの?」という意見が多いと思います。しかしインターネットで「見えない」「目立たない」などで検索するといろいろな種類の装置が紹介されています。・・・・

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2016/4/30
矯正することで顔の表情が良くなり、からだと心が健康になる
矯正装置を付けることは、食べることや話すことに大きく影響し支障をきたすので、基本的にはとても大変です。顔と口は、からだと違い衣服で覆い隠すことができない場所です。特に口は、・・・・

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2016/4/15
矯正治療の心理的なストレスについて
矯正装置を付けていると、ストレスの問題が生じることがあります。一番大きい点はやはり「見える」ということでしょう。もちろん金属の装置は目立ちますし、これにより劣等感を感じたりすることがあります。いまでは一般的になった矯正歯科治療ですが、・・・・

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2016/3/31
矯正歯科治療はアンチエイジング
歯ならびはエイジング(加齢)が始まる前に達成しておかないと、その他すべての事柄に対しエイジングを助長するものになってしまうほど大切なことです。矯正歯科治療とは、早期に行うアンチエイジングそのものであり、若い時にベストな状態を達成してこそ意味のあるもので・・・・

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2016/3/15
矯正歯科治療は保険が使えない
いろいろな問題があることはわかっていて治療をしたくても、やっぱり一般的にはなかなか矯正歯科に行きにくいものです。あるアンケート調査のデータの中にも、矯正歯科専門のクリニックは受診しにくいというデータがありましたが、・・・・

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2016/2/28
成人矯正は子どもの治療と大きく異なる
成人矯正の特徴の第一は「美容矯正志向」が多いということですが、これは当然なことです。誰でも気になる歯並びはキレイに治しておきたいものです。キレイになることは、周囲の人にとっても楽しいことです。・・・・

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2016/2/15
大人も矯正が可能
上の歯と下の歯、嚙み合わなければ、ものを食べるにも、話をするにも支障が出て、健康上の問題にもつながりかねません。個性と納得できるうちはいいですが、人目が気になるという人もいます。・・・・

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2016/1/30
歯列不正の原因とは
日本人は「モンゴロイド(黄色人種)」と言われますが、東京大学名誉教授で自然人類学者であった埴原(はにわら)和郎氏の「二重構造モデル」の説によると、その系譜は二つ存在すると考えられています。・・・・

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2016/1/15
歯並びと文化
古くから「明眸皓歯(めいぼうこうし)」と言われ、美しく澄んだ白くきれいな歯並びは、美人を形容する代名詞の一つとして考えられてきました。歯列矯正を希望する方の多くが、見た目の審美的な改善を治療の目的にしています。・・・・

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2016/1/15
矯正とインプラント
矯正治療で歯を動かす場合、多くは奥歯を固定源(アンカー)にして前歯を動かします。ただ、奥歯は、虫歯や歯根破折(歯茎のなかの歯根が割れること)、歯周病によって、ほかの歯より先にダメになることが多いのです。・・・・

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2015/12/31
矯正の後戻りについて
治療の末に自分の思った通りの歯並びにならなかったという事も失敗の一つですが、治療後に「後戻り」が起ってしまう事も失敗の一つです。通常、後戻りを防ぐ為にはリテーナー(保定装置)を使用して、移動した歯が元に戻ろうとするのを防ぎます。・・・・

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2015/12/15
矯正の種類
矯正といえば、ギラギラとした金具を歯一杯につけた様子を想像する方が大方と思います。
しかし、矯正を行う為の装置と方法は患者さんのニーズに合わせて、様々な形で進化してきました。各装置や方法にはメリットデメリットもあり、「装置が目立つか目立たないか」「費用」「症状に適して・・・・

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2015/11/30
矯正を始める上で知ってしておいてほしいこと(基礎知識)2
成人の矯正治療の場合には、基本的に歯を動かせる隙間がないので、歯を並べるためにスペースをつくらなければなりません。そこで、歯列を横に拡大して広げるか、犬歯の隣になる第一小臼歯を抜・・・・

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2015/11/15
矯正を始める上で知っていておいてほしいこと(基礎知識)1
矯正治療は歯そのものを動かしていくため、多かれ少なかれ、必ず咬み合わせが変わります。治療を始める前に、まずそのことを歯科医が予測し、患者さんにも説明して、理解してもらう必要があ・・・・

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目立たない矯正装置3

食事がラクでおいしい
食事のときには、マウスピースをはずすと何の問題もなく普通に食事ができます。通常の装置では、舌や頬に矯正装置がひっかかったりして、食事がとても大変で憂鬱になってしまいます。
舌を噛んだり、口内炎ができたりすることもよくあるので、ワイヤーガードなどを用いることがよくあります。しかしマウスピースの場合にはその必要がありません。装置を外せば普通に食べられるのです。
また、甘い物の制限や固い物、繊維質の食べ物の制限もありません。マウスピースをはずすと、通常の料理を普通に食べられるのもこの装置の大きな特徴です。
食べるということは、アンチエイジングにつながります。逆に矯正歯科治療で食べることが制限されることは、その期間だけ加齢を促進させることにつながるかもしれません。おいしく楽しく食べられるということは、とても大切なことです。

痛みが少ない
装置による粘膜への痛みがないのはもちろんのこと、歯の動きも他の装置と比較して痛みが少ないのも特徴の一つです。
通常の装置の場合、ワイヤーの操作や材質で歯にかかる力が変わってきます。一般的に歯を動かす量が多いところほど、大きな力がかかってしまいます。その結果、痛みを生じてしまいます。矯正歯科治療をするとだんだんやせてくるというのも、痛くてかめず、食欲が減退する結果で起こるようです。
マウスピース矯正の場合は、細かい動きをマウスピースに与えるため、歯を動かす力が一定で、それぞれの歯に均一な力がかかるようになっています。従って歯に無理な力がかからないことで、痛みが比較的軽減されます。

快適である
長時間かかるという矯正歯科治療を行う上で、快適性はとても重要です。マウスピース矯正は話しやすい、歯磨きしやすいのは当然のこと、精神的な負担も大幅に軽減してくれます。中には全くストレスを感じないという方もいらっしゃいます。特に見た目に関してのストレスはほとんどなく、快適に日常生活を送ることができます。これは今までの矯正装置と全く違うところです。

衛生的
どんな矯正装置でも、だんだん汚れてきます。それは仕方のないことです。口の中には、たくさんの細菌が存在し、24時間365日、湿度100%です。また、冷たいかき氷を食べたり、熱い味噌汁を飲んだりと、温度差も著しく劣悪な環境といえます。そのような過酷な中で、矯正装置は存在しているわけです。
材料の中でも金属の装置は劣化しだんだん変質してくることはほとんどありませんが、矯正装置と歯の境界を接着している接着剤はどんどん弱ってしまいます。その境界のところから虫歯になったり、劣化して接着が弱ることになって装置がはずれてしまうことがあります。
また透明な矯正装置でも、プラスチックでできたものは、だんだん色が黄色く変色してきたり、表面がざらざらになってきたりします。これはキレイなポリバケツが使っていくにつれ、だんだんとざらついて黒ずんでくるのと同じです。
マウスピースも同様に劣化して汚れてきますが、他の装置と異なる点としては、目的や順番に応じて新しいものに次々と装着していくということです。
つまり、マウスピースが汚れてきた頃には次の新しいマウスピースをつけるのです。使い捨てのコンタクトレンズと同じような感覚です。
またマウスピースは、歯ブラシや洗浄剤を使って毎日こまめに汚れを落とし、より衛生的に治療をすすめていくことができます。

装置が壊れにくい
通常の矯正装置は、治療途中で壊れることもよくあります。ブラケットが取れる、ワイヤーが折れる、結紮線がゆるんで痛い、話しづらいなど、患者さんにとっては大変な事がたくさんあります。
しかし、マウスピース矯正は、装置が単純ですので、よほどのことがない限り壊れることはありません。破損の問題としては、すり減って穴が開いたり、割れてきたりすることがありますが、多くの場合、その頃には次の新しい装置に交換することになります。次回の治療までに、雑な扱いをしない限り、壊れることで受診することはありません。

最低限の装着時間を守れば着脱自在
通常の矯正装置は、無条件で24時間つけたままです。治療が終わるまで、はずすことは特別な場合を除いてありません。つまり約2年間はつけたままになります。
マウスピース矯正では、一日20時間以上の最低限の装着時間は必要ですが、必要に応じてはずすことができます。例えばプレゼンが必要など、どうしてもより明瞭に話さないといけない時は、自由にはずすことができます。
またものを食べるとき変色したり、臭いが気になるときは、状況に応じてはずすことも可能です。これは今までの矯正装置にはなかった新しいことです。
これらがマウスピース矯正の優れた点です。従来までの装置とは全く異なる良い点がたくさんありますが、その中でも、日常生活に密接に関わる問題のほとんどが解消されることになります。
その結果、あなたの日常生活は治療前とほとんど変わらずに、治療をすすめることができます。そして、どんどんキレイな歯並びに変わっていくのです。

マウスピース矯正の欠点はあるの?
マウスピース矯正は非常に優れた点を持っていますが、材料的な問題や協力性などに問題があることも事実です。その問題点も、管理方法、心がけ、先生の診断によって改善され、より良い治療になります。
ここでは、マウスピース矯正治療に関する一般的な問題点について述べていきます。

難しい治療には適さない
一見して「歯が出ている」や「受け口」「八重歯」と感じるケースでは適さない治療と思って良いと思います。程度の大きい悪い歯並びには不向きな装置もあります。特に歯を抜かないといけない場合には、予想できない動きをしてしまうので、マウスピース矯正の種類によっては不可能です。
一般的にマウスピースのみで治療が完了できる方は、日本人で30%と言われています。しかし、通常の矯正装置と複合させて行うことで、その問題も解消されることが多いのです。

治療期間が長くなる場合がある
診断によっては通常の治療よりも長くなる場合があります。それは歯を動かす力の方向や、骨格の状態によって左右されます。できるだけ治療期間を短くすることも大切なことなのです。その場合も通常の矯正装置と複合させることで問題を解消できます。

歯を削る場合がある
マウスピース装置を用いるにあたり、隙間を作る目的で、エナメル質という外側の最も硬い組織を少し削るのですが、それほどたくさん削るというわけではありません。しかし通常の矯正歯科治療においてほとんど削ることがないということと比較すれば欠点になります。
治療を早く終了させるか、削らずに少々長く使用するかについては、担当の歯科医とよく相談してください。

骨格的な問題がある場合
あごの骨が大きい場合や、あごが大きく左右にゆがんでいる場合にも、しっかりした治療を行うことができません。
理由としては、骨の大きさの問題も大きいことと、歯を動かす量に制限があるからです。このような問題がある場合は、どんな装置を使っても、しっかりしたかみ合わせをつくることが難しいのです。
しかし矯正歯科治療と一緒に手術を行うという外科的矯正治療の場合に限ってはこの装置を使うことも可能になります。

歯がまだ生えていない場合
小学生など、大人の歯が生えきっていない時期に、この装置を用いることが難しい種類もあります。大人の歯が生えてくるのを邪魔してしまったり、骨の発育を抑制してしまったりすることがあるからです。
しかし比較的短期間に目的を完了する場合に限っては使用することができます。

あごが痛い場合
あごの関節に音がしたり、痛みがある場合、あるいは口が開きにくい場合は「顎関節症」という病気の可能性があります。そのような場合、マウスピース矯正治療を行うと悪化する場合があります。もちろんこの装置で逆に軽快する場合もあります。このような問題がある場合は、治療の前に必ず担当の先生とよく相談して、最適な装置の選択をしてください。

装着時間を守る
当然のことですが、このマウスピース装置を正しく使っていただかないと、全く歯が動きません。また、忘れたり、さぼったりしていると骨が固まって歯の動きが遅くなってしまいます。
治療途中で合わなくなってしまうと費用をかけてまた作り直しをしなければなりません。従って、十分説明を聞き理解した上で使っていただく必要があります。しっかり使っていただければ必ず歯は動いていきます。
特に装置を装着した初めの3日間は必ず使用してください。最初の歯の動きはとても重要です。
 

目立たない矯正装置2

マウスピースとは口の中につける装置の総称です。そのすべてが歯に装着するものとなります。マウスピースにはいろいろなものがあり、目的によって使い分けます。また、作製方法や装着時間、厚みなど、様々な点に関してそれぞれ異なります。マウスピースとして従来から知られているものも加えて説明していきます。

マウスガード
格闘技やボクシング、ラグビーなどで使うのもマウスピースです。正式にはマウスガードと呼ばれ、脳や頭蓋骨、頚椎などの神経や骨、歯を守る目的で用いられます。
衝撃から守ることを目的としていますので、ある程度の厚みがあり、やわらかい素材で作られています。使い古してくると新しいものに交換、もしくは再作製します。
色は様々で、数色のタイプがあり、使う人の好みに合わせて色を選択することができ、見た目も楽しむことができます。
現在では、格闘技をはじめ、バスケットボールやラグビーなどコンタクトスポーツのほとんどに義務化されています。マウスガードはスポーツを行っている時だけに使いますが、安全のため、競技中はもとより、練習中も基本的に表示することが大切です。
マウスガードは、歯科医院にてオーダーメイドで作られるのが一般的ですが、スポーツ用品店で半既製のものもあります。このマウスガードは、マウスピースといわれる装置の中で最も認知されているものだと思います。

スプリント
これも透明なマウスピースです。これは、主に顎関節症と呼ばれるような病気に用いるのが目的です。出来上がったマウスピースを、治療の度に細かい調整を加えていき、筋肉のバランスを整え、あごの関節への負担を軽減します。
その結果、あごの関節の「カクッ」という音を軽減したり、開かなくなった口を開けられるようにしたりしていきます。あごの関節が原因の頭痛や肩こり、耳鳴りなどにも効果があると言われて、素材はしっかりした硬いもので作られています。またかむ場所はある程度の厚みがあります。
スプリントは、細かい調整を加えていきますので、頻繁に作り替えるというわけではありません。色は一般的に目立たないように透明のものが多いのです。使用時間については様々で、夜だけつけるものもあれば、一日中使用する場合もあります。期間についても、数日から、長い場合で1年以上つけることもあります。
種類としては、スタビライゼーション型、前方整位型、ピボット型、リラクゼーション型、ミニスプリントなどがあります。

マウスピース矯正治療の種類
マウスピース矯正装置とは、歯を動かすためのマウスピースです。マウスガードやスプリントとは異なり、透明な装置で、厚さは1ミリ未満のものです。また歯の動きの状況に応じて新しいものに交換していきます。
マウスピース矯正装置で、現在よく知られているものでは、「エシックス」「アソアライナー/クリアライナー」「インビザライン」などがあります。ではマウスピース矯正の種類について述べていきましょう

エシックス
このシステムは、アメリカのルイジアナ州立大学で開発された方法です。最初に歯型をとります。それは精密なものではなく、歯科治療における通常の型取りです。その型をもとに模型を作成します。その模型に1ミリほどの透明樹脂版を機械で吸引圧接してマウスピースを作成します。そのマウスピースを適度な大きさに切ることで大きさを調整します。調整としては、治療の度に部分的に穴を開けたり、局所的に熱を加えたりして少しだけ変形、形成して部分的に歯を動かしてきます。
この方法は頻繁に歯型をとる必要はありませんが、歯の動きに制限があるので、歯を抜かないといけない難しいケースには不向きです。軽度の場合のみ有効なシステムです。

アソアライナー/クリアライナー
この装置は韓国の矯正歯科医が開発したシステムで、エシックス同様に、まず通常の歯型をとり、その型をもとに模型を作成します。その模型で、動かしたい歯の一つひとつをバラバラにし、歯科技工士が精密に並べていきます。動かす量としては、0.5ミリ以内で歯を並べ、コンピューター上で、前後の画像を重ね合わせて比較し、歯の動きを確認します。出来上がった模型を用いて、マウスピースを作製します。マウスピースは0.5ミリの薄いものと0.75ミリの厚いもの2組の装置を作成するのが大きな特徴です。
薄い装置を1週間装着し、その後厚い装置を3週間装着します。予定通りの歯の動きが獲得できたら再度歯型を採って新しい装置を作成することを繰り返し、並べてく装置です。
2週間ごとの来院で、歯をならべていくのですが、この方法では歯の動きに制限があり、歯を抜かないといけない場合には不向きです。

インビザライン・システム
この装置は、全世界で最も多くの人が利用しているマウスピース矯正装置です。
まずシリコンを用いた精密な型を採ります。その型をもとにコンピュータシミュレーションを行い、最初から最後までの強制装置を一度に作ってしまう方法です。

一般的な矯正装置については、周りの人から話を聞いたり、実際に見せてもらったりしていることと思いますが、マウスピース矯正治療はまだまだ一般に浸透していません。ここではマウスピース矯正治療の優れている点、そして劣っている点について述べてきたいと思います。
マウスピースで治療すると、まず見えない、目立たない、治療がラクということを感じられますが、その他にもたくさんの利点があります。ここではそれらの良い点について一つずつ解説していきたいと思います。

見えない、目立たない
まず、マウスピース矯正は装着していても他人から見えませんから、まず気づかれることはありません。身近にいる家族や友人にも気づかれることなく治療進めていくことができます。これは最も大きな利点です。
従来の表側からつける装置は、どんなに白く小さな材料を用いても、どうしても見えてしまいます。マウスピース矯正は、装置をはずしてそれを見せない限り誰からも気づかれず治療することができます。

話しやすい
通常の矯正装置をつけている場合、話す時はどんなに優れた装置であっても、とても話しづらいのが現実です。特に装置をつけた直後ははっきりとした発音はまず無理です。これは唇や頬の動きを制限してしまうためです。また、舌側矯正の場合は発音に大切な舌の動きを制限してしまうので余計に大変です。
その点、マウスピース矯正では、矯正装置の厚みが1ミリ以下なので唇や舌の動きの制限ほとんどなく、何もつけていないのと同じくらい普通に会話をすることができます。また話しづらいということもありません。
受付や営業などの仕事をしている方、特にアナウンサーや学校の先生にとってはとても魅力的な装置です。
いつも明るい笑顔で仕事をすることは周りの人とのコミュニケーションがより良くなり、自分のスキルアップにもつながります。

歯磨きがラク
通常の装置と違い、マウスピース矯正は付けはずしが自由です。そして装置をはずすと歯は何もついていない自分の歯です。従って、今までと同じように普通の歯磨きが可能です。通常の強制措置は、歯磨きが複雑になり、細かいところまでキレイに磨くにはどうしても時間がかかってしまいます。マウスピース矯正では、矯正装置用の特別な歯ブラシも必要なく、歯磨きの難しさも心配せずに治療を進めることができます。
また矯正治療が進むにつれ、どんどん歯並びが良くなると歯磨きがしやすくなってきます。歯と歯肉の管理は体の健康にとって、とても大事なことです。
 

目立たない矯正装置

「矯正装置で見えない?そんなものがあるの?」という意見が多いと思います。しかし、インターネットで「見えない」「目立たない」などで検索するといろいろな種類の装置が紹介されています。ここでは、外から見えない矯正装置、目立たない矯正装置について述べていきます。
一般的に言われる見えない矯正装置には以下の装置があります。その他にもあるかもしれませんが主な種類としては次のようなものがあります。

内側に単純な装置を付ける方法
「リンガルアーチ」という矯正装置が代表的なものです。子供の治療で裏側から治療しているケースですと、ほとんどこの装置が入っています。これは歯の内側から歯を動かす、昔から行われている方法です。
装置としては奥歯(6歳臼歯)にバンドと呼ばれる金属を装着し、そのバンドに太いワイヤーをつなげます。そのワイヤーに小さなバネをつけ、その弾性力で歯を動かします。
外側からは見えない装置ですが、内側につけているので、舌の動きを阻害して装着感は良いものではありません。しかしその違和感も、徐々に慣れてくるのでご安心ください。
またこの装置は、細かい動きについては難しく、この「リンガルアーチ」だけで治療を完了させることはできません。

床矯正装置
取り外しができる矯正装置の代表的なものです。比較的軽度な方に用いる装置で、歯の細かい動きには対応できません。奥歯にバネを用いて固定しますから、バネが外から見えるタイプもあります。
一日中、しっかり装置を使える方には有効な措置ですが、治療に協力性が低い場合は全く効果がありません。また、装置が大きいため、話しにくい、嚥下しにくいなどの欠点があります。
しかし部分的な矯正歯科治療を、自分の生活スタイルに合わせて使いたい方にとっては良い装置だと思います。作製方法ですが、口の型を採り、模型上で歯の移動の目的に応じて設計します。使用する材料としては、針金と入れ歯を作る素材(レジン)や拡大用スクリューなど用いて作製します。
また、この装置は完全にオーダーメイドになっており、進行状況に応じて作り直したりします。

ツースポジショナー
基本的に矯正歯科治療が終了した時に用いる矯正装置で、一般的にあまり使いません。矯正歯科治療が終わった後なので、ほとんどキレイに歯は並んでいます。しかし装置をはずした直後は、ワイヤーで調整しきれなかった細かい歯のねじれがあったり、微妙にかみ合っていないところがあったりします。その部位を修正するために模型の歯を一つひとつ分割し、理想的な状態に並べます。その理想的な噛み合わせの状態でマウスピースを作ります。
矯正装置を外した直後は、歯がとても動きやすいので、この理想的に並べられた模型で作製したマウスピースを用いることで微妙な歯の動きが可能になります。
この矯正装置は比較的やわらかい材料を用いています。しかも上下が一体型なのでこの装置を入れた状態で話をしたり、食べたりすることはできません。基本的には在宅時、就寝時に用いる装置です。装着期間は2週間から1ヶ月が一般的です。
もちろんこの装置も自分の意志でしっかり使っていただくので、きちんと使えばキレイに治っていきますし、使わなければ並びません。

ダイナミックボジショナー
この矯正装置もツースポジショナーと同様に一般的ではありません。矯正歯科治療が終わった後の微妙な歯の動きに対応するための装置です。
ツースポジショナーとの大きな違いは、上下がわかれているので、会話も可能で日常生活でも装着可能です。材料としては、硬いシートと薄いシートを合わせて作製しています。これらの特徴から、歯を少し動かす目的と、保定装置としての目的を併せ持ちます。

舌側矯正(リンガル)
一般的に見えない矯正歯科治療というと、この方法になります。ほとんどの矯正歯科専門クリニックで行っている方法です。
この方法は、歯の裏側にマルチブラケット装置をつけて治療を行う代表的な方法です。これは、表側から矯正装置を付ける方法と遜色ない治療結果を得ることができます。まず表側に装置をつけることがないので、まったく人に気づかれることなく治療を進めていくことができます。また、矯正医療インプラントや皮質骨切りの併用も行えます。しかし、いくつかの欠点があります。代表的な欠点としては、他の装置と比較にならないくらい発音と食事に問題を生じます。こればかりは慣れていただくしか方法がありません。一般的に1ヶ月から3ヶ月ほど慣れるまでの時間が必要です。
頬の粘膜と違い、筋肉である舌に装置が常に当たるので、表側の治療よりつらいとよく言われます。また、一般的に表側よりも治療期間が長く、費用が高いのも問題かもしれません。
もちろん自分では、上あごの内側までは鏡を使っても見えませんので、歯磨きの際、汚れがついている部分を確認することができません。従って歯磨きが難しく、磨き残しが口臭の原因となりやすくなり、表側の装置と比較して歯周病などの病気になりやすいのも欠点といえます。

舌側矯正の流れ
治療に入るまでの手順は、通常の矯正歯科治療の流れと変わりません。装置をつけるときが、表側の装置と比べてとても煩雑になります。
表側の場合は、先生が歯にブラケットを装着してきます。時間にして大体30分から1時間ほどで矯正装置を装着し、ワイヤーを入れて歯を動かします。
舌側矯正の場合は、直接先生が歯の裏側に装置をつけていくことはあまりしません。まずは型採りを行います。それを模型にして、歯科技工士が歯を一本ずつ分割していき、理想的な状態に並べます。矯正治療後を模型で作るわけです。
その理想的に並んだ状態で、歯の裏側にブラケットを並べていくのです。それをもとに、一つひとつの装置を付けるための「コア」というもの作製します。このコアを作製することは、非常に難しく、時間もかかりますので、熟練した技術と経験が必要になります。装置をつける前に、この細かい仕事をする歯科技工士の仕事が大きな役目を担っているといえます。
そして、その歯科技工士が作製したコアを用いて、歯科医が一つひとつの歯の裏側に装置を接着してきます。装置をつけた後に、ワイヤーを装着していきますが、裏側なので、見えないところもあり、どうしても表側の装置にワイヤーをつけるようにはいきません。
患者さんも、当然、口を長時間開けたままで診療を続けなければなりません。治療頻度は、表側と同じように大体1ヶ月ごとになります。以上が舌側強制事情(リンガル)です。

マウスピース矯正
実は見えない快適な矯正装置とは、このマウスピース矯正装置のことをいます。これらはすべて透明なマウスピースで 歯並びを治療する方法です。共通点としては、透明な樹脂であること、進行状況に応じて新しい装置に順次取り替えていくことです。マウスピースは様々な種類があり目的も異なります。
 

矯正することで顔の表情が良くなり、からだと心が健康になる

矯正装置を付けることは、食べることや話すことに大きく影響し支障をきたすので、基本的にはとても大変です。顔と口は、からだと違い衣服で覆い隠すことができない場所です。特に口は、笑う、話す、食べる、飲み込むなど睡眠時を除いて休みはありません。どうしても矯正装置を付けたくない、その気持ちはよくわかります。

しかし、がんばって治療が終わった後は、とてもハッピーなことばかりなのです。ここでは、矯正歯科治療を受けて良かった、効果があった、キレイになった、ということについて述べていきます。


■矯正歯科治療をしていないと、いくらアンチエイジングをしていてもダメ
矯正歯科治療で取り上げられることは、キレイなスマイルを得られること。つまり歯並びがキレイになるということですが、それだけではありません。「1.歯について」、「2.顔について」、「3.からだと心の健康について」、大きく3つに分けて解説します。

これを読むと、化粧品や健康器具、サプリメントやエクササイズなど、高い費用をかけて行っていることが、実際は「無駄遣い」「過剰な浪費」に終わってしまう可能性が高いことを理解していただけるでしょう。

矯正歯科治療をしていないと、いくらアンチエイジングをしていてもダメなのです。歯並びが良くないと、生涯を通して「キレイ」を維持していくことは難しいのです。


■スマイルだけじゃない、歯にとって良いこと
歯は表情を表します。そして健康を現します。年齢も現します。そして全身の状態も現します。ここからは矯正歯科治療によって改善される、よりキレイに口の中を変えられることについて述べていきます。

ホワイトニング
みなさんすでによくご存知の、歯を白くする治療です。周囲の友だちも何人も経験されているかもしれません。「被せもの」などの治療をしていない自分の歯であれば、治療は可能です。キレイな歯並びでホワイトニングをすると、本当に口元が美しくなります。また口紅や、化粧も相乗効果でとても映えます。

歯並びが悪くてもホワイトニングは可能です。しかし光の反射や遠近効果で、出ている歯はより白く見え、引っ込んでいる歯は暗く見えることにより、均一な白さを得ることは難しいのです。逆に歯並びが悪いことを目立たせることにもつながってしまいます。

ホワイトニングは、歯並びが整ってこそ、効果が十二分に発揮されるといえます。


審美歯科治療
最近テレビを見ても雑誌を見ても、歯のキレイな芸能人ばかりです。見た目が大切な職業の方は口元にも大変気を遣います。それは芸能人だけではなく、モデル、受付、営業、化粧品や健康関係のショップの店員などなど、さまざまな職業で口元の美しさが求められています。

また最近では、就職の際の面接で歯をキレイにしていないと採用されないというところもあるようです。見た目を改善するための治療を、一般的に審美歯科と呼びます。その中にホワイトニングも含まれますし、歯を削ることで治療時間を少なくし、キレイにする方法もあります。

このような審美歯科治療を行うにあたっても、歯並びが良い場合と悪い場合で治療の難易度が変わってきます。歯を削る量、歯の形、神経の治療、歯茎のラインなど、歯並びが悪いと治療自体が非常に難しくなってきます。そしてかみ合わせの調整もとても難しくなり、それらをすべて完全に行うためには、多くの時間と費用がかかってきます。

またせっかくキレイな歯を作っても、長期間維持できるかどうかも歯並びで変わってきます。最近では、治療した歯をできるだけ長く維持するために、またよりキレイな歯を作るために部分的な矯正を行うことがよくあります。より良い審美歯科治療を受けるためにも歯並びが良いことは重要なポイントなのです。


デンタルデトックス
デトックスとは、体内に留まった毒素を排出させるという健康法です。歯科においてもデトックスがあります。それは、歯の治療で用いている金属を除去するということです。金属は人によってアレルギーを起こすことがあります。歯科用の金属にはさまざまなものを用いています。特にアマルガムという合金は水銀を使用しています。

歯科用金属は、アマルガムも含め基本的に身体にとって無害なものを使用していますが、24時間口の中に入れているため、体内に金属が溶け出す可能性が高いといわれています。治りにくいニキビ、アレルギー性皮膚炎(アトピー性皮膚炎、蕁麻疹など)、気管支喘息、花粉症、乾癬、舌炎、口内炎などの疾患も、歯科における金属やつめ物によるアレルギー反応が関係しているといわれています。

歯科用金属が身体にとって害を及ぼしているのであれば、早期に金属から別のものに取り替える必要があります。その材料としては、セラミック系樹脂やポーセレン(陶器)が用いられます。それらの治療を行う場合も、審美歯科治療と同様に歯列の配列によって、歯を削る量や治療の可否、難しさが変わってきます。

害を及ぼす作用があると考えられるものを排除するデトックスは必要なことです。それを効率的に行うためには、歯並びを整えておくことがとても大切になってきます。


細菌の減少
最近は「抗菌」という言葉がよく使われるようになりました。私たちは常に細菌と共存しています。

これは切っても切り離せない関係で、口の中にも細菌が存在します。その代表的な菌が虫歯菌(ミュータンス菌)、歯周病菌(ラクトバチラス菌)です。これらの菌が多いと虫歯になったり歯周病になったりするので、私たちはできるだけこれらの菌を除去するために日常の歯磨きを励行しているのです。

ところがこれらの菌は、歯ブラシやフロスが届かないところにも常に存在しています。歯並びが悪いと、ブラッシングなどで届かない箇所が多いということになり、必然的に口の中は常に細菌が繁殖していることになります。それが口臭や歯周病の原因となります。

それらの疾患を予防管理するために、できるだけ歯磨きがしやすいような環境、そして短時間で効率的にほとんどの細菌を排除できるような歯並びにしておくことは、虫歯や歯周病、そして口臭を予防するためにとても大切です。

歯周病菌が心疾患を引き起こすという、とても怖い報告がありますが、歯並びが良いと、管理がしやすく細菌も少ないので、そんなに怖がる必要はありません。

歯周病
歯周病は細菌による疾患であることはすでに述べました。ここでは治療に関することを説明します。歯周病の治療としては、細菌の固まりであるプラーク(歯垢)や歯石を除去することや、骨がなくなったところに骨や歯肉を作るという治療を行っています。歯石を除去する際には、専用の「スケーラー」と呼ばれる器具を用いて取っていきます。

歯並びが悪いと、「スケーラー」を狭いところに使用することが難しいために、十分キレイに除去できないことがあります。また骨が吸収される原因は、やはり細菌によるものですから、十分キレイに原因を除去できていないと、骨を作る手術をしてもうまく治らない場合があります。

歯周病で、これ以上歯を失わないためには、歯並びを整えておくことが大切です。管理しやすい状態にしていないと健康な歯の状態を取り戻すことはできないのです。もちろん歯並びが良い人は、歯磨きがしやすいということもあり、それも功を奏して、あまり歯周病になる心配をしなくてすみます。
 

矯正治療の心理的なストレスについて

矯正装置を付けていると、ストレスの問題が生じることがあります。一番大きい点はやはり「見える」ということでしょう。もちろん金属の装置は目立ちますし、これにより劣等感を感じたりすることがあります。

いまでは一般的になった矯正歯科治療ですが、以前は周りに誰も治療を受けた人がおらず、いじめの対象になったり、明るく笑っていた子が装置を付けたことによって笑わなくなったということもあったようです。しかし、いまでは逆に装置が目立つことを活かして、カラフルな色を使うことで矯正歯科治療生活を楽しんでいる患者さんも多いのです。

思いっきり笑って楽しんでどんどんキレイになることを実感していき、周りの友人たちの興味の対象にもなり、その友人たちも幸せにしているのです。その方の性格によりますが、現在ではむしろ良い心理的な要素となりつつあります。

慣れるまでのストレス
とにかく装置に慣れるまでは食べることは大変です。おいしい食べ物もおいしく感じられないこともあります。装置が壊れることも考えないといけないので、食べ物も制限されます。甘くて柔らかいものは普通に楽しんで食べられますが、その後の歯磨きを考えると、どうしても憂鬱になってしまいます。

話すことにおいても、慣れるまでストレスを感じるでしょう。唇の動きや下の動きが制限されることで、会話がたどたどしくなることがあります。はっきりとした発音が難しいため、電話での対応は大変かもしれません。また会話の最中に笑ったりした時に、装置が邪魔でとても苦痛を感じることもあるかもしれません。

矯正装置を見て、まず思い浮かぶことは「こんなのが口の中に付くの?」や「歯磨きがめんどうくさそう!」というようなものでしょう。歯磨きはとても大切です。生まれてから両親をはじめ学校の先生、テレビ番組に至るまで、ずっと言われ続けていることです。

その大切な歯磨きを一見、矯正装置は阻害してしまうものに見えるはずです。実際は矯正装置専用の歯ブラシを使って細かく磨くことで、キレイな状態を保つことができ、虫歯や歯周病を防ぐことになります。しかし、どうしても歯磨きには時間がかかってしまうのは事実です。

矯正歯科治療の印象
みなさんにとって、矯正歯科治療の印象とはどんなものでしょうか?二コッと笑うと、マルチブラケットといわれる銀色の装置がギラッと光るというのが一般的な印象だと思います。この印象は矯正歯科治療が19世紀から始まって以来、あまり大きくは変わっていません。

1970年前後の矯正装置はもっとギラギラでした。すべての歯をバンドという金属の帯でひと回ししていたからです。その結果、歯の半分以上が金属に被われていたのですが、現在では歯に直接装置を接着するようになっています。これで昔に比べると比較的目立たなくなってきたのです。

装置を歯に接着する方法は、矯正歯科を飛躍的に進歩させることになった大きな出来事だったのです。ひと昔前は、歯並びが悪くてもそのままにしている人が多く、矯正歯科治療を受けること自体が珍しい時代でした。そんな時代にギラギラした金属の装置を付けることは、恥ずかしく思ったり、劣等感を感じることが多かったようです。

ところが、現在ではカラーモジュールなど、カラフルに矯正歯科治療を楽しめるようになってきました。矯正装置を付けたからといって、笑顔がなくなったり、装置を隠しながら生活したりするということはなくなってきたと思います。これは矯正歯科治療が進化し、また一般的になってきたということが大きいでしょう。

季節のイベントに合わせてファッション感覚で色を選ぶことは楽しいものです。矯正歯科治療に用いる材料も大きく変わってきています。後に述べる透明な装置や白い装置もそうですが、技術の進歩にともなって装置も小型化されており、また使用するワイヤーも非常にやわらかくなって、治療の痛みが大きく軽減されていることも最近の治療の大きな特徴です。

その他、レーザーの併用によって、より痛みを軽減したり、手術を併用することで短期間に治療を終了することも行われています。

白い矯正装置、透明な矯正装置
矯正歯科治療を受けている人は、あなたの周りにもたくさんいるはずです。たとえば学校のクラスにも、2~3人ぐらいはいるかもしれません。しかしだれが矯正歯科治療を受けているか、気づいていますか?多くの人が治療を受けているのに、日常生活において誰が治療しているかは意外と気にならないと思います。

それは白い装置、透明な装置が登場してきたことによって、矯正歯科治療をしていることが気づかれなくなってきたことによります。材料としては、セラミック(陶器)のもの、透明なプラスチック(樹脂)のもの、人工サファイヤなどがあり、これらは歯の色になじみ、本当に目立ちません。

しかし金属の装置に比べて、一般的に大きさがひと回りは大きくなることで、歯磨きが難しくなったり、違和感が増したりします。また、金属に比べて歯の動きが遅いこともあります。残念ながら、使われているワイヤーなどは銀色がほとんどです。もちろん白いワイヤーも存在し、装置が付いていることがわからないようです。

最近ではほとんどの患者さんが白色や透明な装置を選択されます。やっぱり日常生活を営む上で、目立たないということはとても大切なことなのです。見た目は良くなったといえども、みなさんのご想像通り、付けた感じはデコボコです。話すと装置が口の粘膜にひっかかって話しにくい、あるいは痛い。

もちろん食事もしにくいですし、食べ物にも制限が生じます。口内炎ができることもあります。これらの解決方法は、現在のところ慣れるしかありません。この矯正装置を付けないと歯並びが治らないのですから許容するしかないのです。

しかし時間が経てば、必ず慣れてきて食事や会話もしやすくなります。


矯正装置の構成について
矯正装置はどのような部品で構成されているのでしょうか?代表的な装置について解説したいと思います。


●バンド‥‥主に奥歯に用いる銀色の輪。大きな歯に確実に固定するためのチューブを着けてセメントで固定します。ぴったりしたバンドを合わせるため、いくつかのサイズ合わせをします。

●チューブ‥‥バンドや奥歯に付ける金属性の筒です。この筒にワイヤーを通して歯を動かしていきます。

●セメント‥‥バンドを歯に固定するための接着剤です。粉と液を混ぜるタイプや光で硬化させるタイプなど、さまざまな種類があります。

●ブラケット‥‥歯に装着して、歯を動かす装置です。金属のものや陶器、樹脂のものなどがあり、矯正装置でとても大切な装置です。固いものをかんだりするとはずれることがあります。

●接着剤‥‥ブラケットを歯に固定するための接着剤です。用途や目的に応じてさまざまな種類があります。歯の表面をすべて処理して化学的に接着します。

●結紮(けっさつ)線‥‥ブラケットとアーチワイヤーを固定する細い針金です。これを用いてワイヤーを固定するには熟練を要します。

●アーチワイヤー‥‥歯を動かすためのワイヤーです。歯のラインに沿って曲がっていたり、曲げたりします。非常に細いものから太いものまであり、状況に応じて使い分けます。また、材質も形状記憶合金のものやステンレス製など、いくつかの種類を使い分けています。

●エラスティック‥‥結紮線の代わりに用いるエラスティックや、歯や動かす目的で用いるものなどさまざまな種類があります。

●フック‥‥歯を動かすためにエラスティックなどをひっかけるために用います。

●コイル‥‥歯を動かすために用いるバネです。アーチワーヤーに通して歯と歯の間にはさみこんで動かします。


以上が一般的に用いる材料になります。
装置が壊れたりした際には、これらの名称を言っていただけると電話でもすぐに状況を把握することができ、適切に対処することができます。
 

矯正歯科治療はアンチエイジング

歯ならびはエイジング(加齢)が始まる前に達成しておかないと、その他すべての事柄に対しエイジングを助長するものになってしまうほど大切なことです。
矯正歯科治療とは、早期に行うアンチエイジングそのものであり、若い時にベストな状態を達成してこそ意味のあるもので、あなたにとってとても大切な医療なのです。
歯ならびが、普段の生活に大きく影響していることはよく知られています。それは、大きく分けて3つあります。
・キレイに笑える
・なんでもおいしく食べられる
・正しく発音ができる
以上3つを矯正歯科治療で達成することで、小さな子どもたちであれば、正常かつ健康に成長できるでしょう。また、成人であれば、生活をより充実させることができるでしょう。
そしてお年寄りであれば、歯を長持ちさせ、心身ともにしっかりとした健康で、より良い人生を過ごすことができるでしょう。
この3つの点については、美容外科を受診しても、サプリメントを飲んでも達成できることはありません。
矯正歯科治療で歯ならびを正しくすることで、はじめて達成できることなのです。正しいかみ合わせを得ることは、からだの健康に大きく影響するのです。
つまり、この大切なこと「3つ」を達成することで自分の人生を充実させることができるのです。

「食べる」ことが一番大切です
矯正歯科治療でよくいわれることですが、一番注目されるのは、「キレイに笑えることです。しかし実際、我々が生きていくことに対して一番大切なことは、なんでもおいしく「食べられる」ということなのです。
人間が生きていくためにはエネルギーが必要です。そのエネルギーは食べることから補われます。
歯ならびが悪いということは、かみ合わせが悪いということです。かみ合わせが悪いとうまく食べることができません。しっかりかめないことで食事に時間がかかったりしてしまいます。
その結果、胃腸に負担がかかったりして、効率良くエネルギーを補うことができず、健康を維持することがうまく出来なくなるかもしれないのです。

歯ならびは早く治した方が良いでしょう。なぜ?
歯ならびの問題は、若いうちはあまり出てきません。それはからだが若くて健康だからです。若い肉体は筋肉もしっかりしていますし、骨も太くしっかりして若いエネルギーが豊富だからです。
少々歯ならびが悪くても見た目以外は日常生活に何も問題は起きません。しかしその問題は、年齢を重ねるにつれてじわじわと出てくるのです。
歯ならびのアンバランスは、靴でたとえれば、左右のかかとの高さの異なる靴をはいているのと同じことなのです。
少々変な靴をはいていても若いうちはなんともないのですが、成長に伴って骨の長さや筋肉のバランスはその靴に合わせて変わってきます。その状態で加齢がすすんでいくとどうなるでしょう?
若さと筋力で保っていたバランスが崩れていくのです。その結果、いままで問題なかったところに骨の変形や痛みなどが生じてきます。その治療方法としては、骨の長さを手術で調整したり、筋肉のリハビリをしたりすることになるでしょう。

エイジング(加齢)から逃れることはできません
かみ合わせも同じことがいえます。若いうちは少々歯磨きをしなくても、歯ぎしりをしても問題ないのです。しかし加齢が進んでくると、いままで通りに磨いていても歯周病になったり、歯が痛くなったりしてどんどん歯を失うようになってきます。
歯医者さんや歯科衛生士さんの説明の通り、毎日一生懸命に歯磨きをしても歯ならびが悪ければ、歯を失うことを止めることは難しく、加齢に伴ってどんどん歯を失っていきます。
あなたの身近にいるお年寄りも同じことをいうでしょう。「私は先生のいう通りにしっかり磨いていたのに、どんどん歯がなくなって、いまは入れ歯です」。
歯ならびが悪いことで、あなたの将来に大きな問題が生じることは明らかなのです。なぜなら、高さの異なる靴をはいているからです。問題を根本的に解決するためには、早期に正しい高さの靴をはくことが正解なのです。
したがって、かみ合わせの治療「矯正歯科治療」はできるだけ早い時期に治療を開始した方が良いのです。
矯正歯科治療を受けた結果、効率良く歯磨きができるようになり、歯周病などで歯を失うこともありません。また、キレイなかみ合わせをつくることで、すべての歯にかむ力が均等にかかり過重負担により歯を失うこともありません。
また、かみ合わせを治療することで、食事も運動もしっかりすることができるようになり、また頭痛や肩こりなどの問題(顎関節症)も解消できるといわれています。これで生きるために最も大切な「食べる」ということが達成され、あなたの長い人生における健康が約束されるのです。

将来に大きなメリットが得られる
矯正歯科治療は、あなたの日常生活を大きく変え、そしてアンチエイジングにもなることについて理解していただけだと思います。ところが、多くの方がそのことについて漠然と気がついているはずですが、矯正歯科治療を受けている方はまだまだ少ないのが現状です。
テレビでは矯正装置を付けている方を頻繁に見ることもできます。タレントや女優など、芸能人の多くは矯正歯科治療を受けています。
それは歯ならびが悪いと芸能界でデビューできないこともあり、矯正歯科治療が終わってからとなる場合もあるようです。
矯正歯科治療が良いのはわかっているのに、なかなか踏み出せないのはなぜでしょうか。
ここででは、矯正歯科治療を受けたくない、いくつかの理由について考えてみたいと思います。
学校の歯科検診、歯医者さんからの指摘、テレビの芸能人と比べてみる、友達が矯正歯科治療を始めた...などなど、自分の歯ならびが悪いことに気がつく機会は多いでしょう。
しかし自分の歯ならびが悪いと気がついていても、矯正歯科に行くことをためらうのは、なぜなのでしょう?
ところで、みなさんはどんなきっかけで歯医者さんに行きますか?
歯をクリーニングするためでしょうか?
歯を大事にしているからでしょうか?
歯周病が心配だからでしょうか?

一般的には、虫歯を指摘されたり、虫歯が痛んだ時ですが、その時は止むに止まれずに受診することが多いでしょう。
虫歯といわれると、気持ちはイヤでも歯医者さんに行きます。それは虫歯がやがて痛くなることを知っているからです。いまに痛くなるから治療に行く、虫歯が進行するのがイヤだから早めに治す、などというのが大方の理由でしょう。
私たちが見るテレビの幼児番組では、悪そうな虫歯菌が出てきて、道路工事をするドリルで歯に穴をあけていく映像や人形劇を頻繁に見かけたと思います。その頃から私たちの頭に虫歯は痛いとインプットされているのです。
そこで正義の味方「歯ブラシマン!」みたいなヒーローが登場して虫歯菌をやっつけるシーンを覚えているでしょう。それは現在の子供番組でもそうです。
しかしこのように虫歯についての番組や映像があるのに、歯ならびについての子供番組も歌もありません。歯ならびに関するコマーシャルもありません。そういう理由で歯ならびに対する問題意識はなかなか高まらないのです。
矯正歯科を受診する条件として、もし「虫歯」のように痛みがあれば、みなさん必ず受診されることでしょう。しかし「歯ならび」に関しては痛みが伴いません。
しかし歯ならびが悪いことは、あなたの長い人生において、虫歯以上の重大な問題を抱えることにつながるのです。
 

矯正歯科治療は保険が使えない

いろいろな問題があることはわかっていて治療をしたくても、やっぱり一般的にはなかなか矯正歯科に行きにくいものです。
あるアンケート調査のデータの中にも、矯正歯科専門のクリニックは受診しにくいというデータがありましたが、その理由の一つとして、矯正歯科治療が健康保険の適用外で治療費が高額であるというイメージがあるからでしょう。
医療費としての矯正治療の費用は、常識的な金額にもかかわらず、他の歯科治療が健康保険適用で受けられるため、比較してみると、どうしても高額に見えてしまうのです。
そして、クリニックによって治療費が異なるという点も受診しにくい理由ではないでしょうか。
一般的には、「歯科」は歯に関してすべての治療ができるというイメージの中に「矯正歯科」という別の名前から、疑問や煩雑さを想像してしまうことも理由でしょう。
しかし矯正歯科は歯科の中において、昔から歯科医師が誰でも高い治療水準で行える治療ではないということから、早くから専門医院として認められています。
これらの点が問題となって、なかなか矯正歯科を受診することができず、その結果、ご近所で、便利に、お手軽に、費用も安く、ということで、いつも行っている歯科医院でついでに矯正歯科治療も、という方も多いようです。

骨折したときにはどの病院に行きますか?
たとえば、あなたがジョギングをしていて、思わず転んでしまい足の骨を折ったらどうしますか?目の前には眼科があります。少し向こうには皮膚科があります。車に乗れば整形外科があります。でも、あなたの答えは決まっているでしょう。
遠くても整形外科に行きます。それは、骨の問題は「整形外科」と常識になっているからです。眼科でも皮膚科でも応急処置はしてもらえるでしょう。しかし骨折に関する専門的な治療はできません。当たり前のことです。
歯科も同様です。歯を動かす専門もあれば、虫歯を治す専門、歯ぐきを治す専門、インプラントの専門、歯を抜いたりする外科の専門など、多くの分野に分かれていて、歯科医師はそれぞれが専門を持っており、歯科治療を行っています。
もちろん矯正歯科の先生も歯科医師免許を持っていますので、虫歯の治療も入れ歯の治療もできますし、治療をしても問題はありません。
しかし矯正歯科の先生は、基本的には虫歯の治療も入れ歯の治療もしません。なぜでしょう?それはいつも虫歯の治療をしている先生の方が、明らかにうまく完璧に虫歯を治せるからです。プロフェッショナル、専門というのは、そういうことなのです。
矯正歯科を受診すると、他の治療を別のクリニックに紹介される場合があります。それはプロフェッショナル同士の治療によって完璧なかみ合わせを実現し、それがあなたの健康維持につながっていくという大きなメリットを考えているからです。
もちろん矯正歯科においては、他の分野の歯科医師や提携している病院や医師から紹介していただいた患者さんも治療しています。
このような専門医同士で行う治療のスタイルを集学的治療「インターディシプリナリー治療」といい、より高度な治療を行うことができます。
これは患者さんにとっては、何カ所かのクリニックを受診しなければならないので煩雑ではありますが、最近では非常に良い医療ということで高く評価されており、矯正歯科では昔から行われているスタイルです。
いまでこそ良い医療スタイルといわれていますが、それは患者さんにとってはなかなか矯正歯科を受診できなかった理由の一つかもしれません。

矯正装置は恥ずかしい?
人前で話したり笑ったりするときに、矯正装置が見えることも、矯正歯科治療を積極的に受けたくない一因でしょう。
今この青春の時期を大切にしたい!という意見もあります。この子にこんな装置を付けてかわいそうに!という意見もあるでしょう。
矯正歯科治療をすると審美的にも健康的にも、社会生活において間違いなくメリットがあるとわかっていても、矯正装置が見えることが「恥ずかしい」というイメージがまだ残っています。
しかし実際はそこまでではありません。みなさんの周りにいる矯正装置を付けている方に聞いてみると良いでしょう。
しっかりした先生の治療を受けている方は、「そんなにたいしたことないよ」と答えてくれるでしょう。
あなたはその話を聞いてもまだ信じられないかもしれません。それはやはり友達と違うと感じること、そして従来から聞いている情報で、矯正歯科治療に対するマイナスのイメージができあがっているからなのです。
それは、痛くてかめない、口内炎ができて痛い、歯磨きが大変など、という情報をインプットされ、それがトラウマ状態となっているからでしょう。
今日では材料も非常に良くなり、そのような問題もどんどん改善されてきています。

なぜ歯を抜かないといけないの?
矯正治療を行うにあたって、必ず理解していただかなければいけないことがあります。それは歯を抜く場合があるということです。
もちろん歯を抜くのはイヤですよね?
基本的に先生も歯を抜かない方向で治療計画を立てます。歯科医で、まず歯を抜きたいと思っている先生はいないということをご理解ください。
しかし矯正歯科に話を聞きに行くと「あなたは歯を抜かないといけません!」といわれることが多いのです。なぜでしょう?
歯がガタガタしている、出っ歯である、受け口であるなどの問題は、歯の大きさと骨の大きさのバランスがとれていないことに起因します。いわば定員オーバーのイスと同じと考えてください。10人分の長イスに12人座れるでしょうか?
無理をすれば座れますが、長い時間座っていることは難しいですね。
その定員オーバーを解消するためには、どうしてもそのイスの大きさに合わせて座ってもらう人数を調整しないといけません。それは、骨の大きさに合わせて歯の本数を調整するということです。そのために歯を抜いて隙間をつくることは必要なことなのです。
歯を抜くのは絶対イヤという方もいらっしゃいます。もちろん歯を抜かずにならべることもできます。しかしその結果、その他の箇所に無理が生じてしまいます。
例えば前歯が出てしまい唇が閉じにくくなるということや、骨から歯が出てしまった状態でならんでしまうことなどです。
骨から出てしまっても、歯肉があるので直接には歯根は見えません。しかしエイジングがすすんでいくにつれて、歯周病になると大変です。
骨から歯がはみ出ているため、どんどん骨が吸収されて早く歯を失うことになる場合もあります。
つまり定員オーバーのままで、東京駅から距離の短い横浜ぐらいまでは頑張って乗れますが、静岡や名古屋、京都、大阪まで行くのは、疲れてしまって全員が乗れないのです。ここでいう距離は年齢です。
言い換えれば、より良い人生を長く楽しむためにはゆったりとしたイスでないと不可能ということです。矯正歯科治療を受けなくても、歯を抜かずに治療しても、結果としては加齢とともに歯を失ってしまうことになるのです。
それでもやっぱり歯を抜きたくないですか?
実際の矯正歯科治療における矯正装置の装着時間と治療期間についてですが、ご存知のように基本的に矯正装置のほとんどが24時間付けたままで取り外しはできません。
治療期間は2年から2年半が一般的です。この期間が、治療をするか否かを決定するときにためらう大きな要因となっています。
もちろん自分の意志で、自由に付けはずしのできる装置もあります。「床矯正装置」が代表的なものですが、矯正歯科専門クリニックでこれのみを用いて治療する先生はまずいません。
 

成人矯正の特徴

成人矯正は子どもの治療と大きく異なる
成人矯正の特徴の第一は「美容矯正志向」が多いということですが、これは当然なことです。誰でも気になる歯並びはキレイに治しておきたいものです。キレイになることは、周囲の人にとっても楽しいことです。いろいろな事情で、子どものときに治せなかった例もあるでしょう。やっと自分の力で矯正ができるとなると、期待に胸が膨らみます。

第二の点は、治療に対して非常に熱心だということです。交通費のほうが治療費よい高い場合もあります。それに比べると、子どもさんのなかには、なぜこの歯医者にきているのか理解できない子どももいます。矯正治療に積極性がないので、歯磨きも悪く、どうしても歯肉炎やムシ歯にかかりやすく、要注意の患者さんが多いのです。

第三の問題は、患者さんが大人だけに、口のなかにはいろいろな補綴物(ブリッジなど)が入っていたり、肝心の第1大臼歯が抜歯されていたり、矯正治療をすすめる上で条件が悪いことが多いのです。

最後に重要なポイントをもう一つ。患者さんが待望する矯正治療に対する期待があまりに過大になる、ということです。それが後になって、患者さんの治療結果に対する不満となる可能性があります。治療開始にあたって、医学的に、あるいは歯科矯正学的に希望条件を満たせるかいなか、話し合っておくことが必要です。
もちろん、手術やインプラントなど、できるだけ広く、ほかの専門領域の専門家との密接な協力も欠かせない症例がふえてきました。

何歳まで矯正治療は可能か
大人の矯正となると、年齢に関係なくできるものではありません。正確には、その患者さんの歯や歯肉をはじめとする、周辺の支持組織の健康度と、何よりも患者さんのモチベーション(動機づけ)に左右されます。
一般論として、女性の場合は、65歳ぐらいが上限と思っていいでしょう。閉経期を過ぎると、移動する歯の歯根膜の牽引側に期待される骨の新生が遅くなると想像されるからです。

一番問題になるのは、やはり歯周病の進行状態といってよいでしょう。歯周病があるから矯正はできない、と決めつけるわけではありません。軽度のものなら、矯正治療と同時進行のチャンスはあります。問題は、歯周病を無視して、矯正治療をすすめることです。
逆に、矯正治療で歯周病にならないのか、という疑問もあるでしょう。それもないとはいえません。矯正装置が入るのですから、大人も子ども今まで以上に口の手入れに気を使い、時間も使ってほしいのです。

子どもの場合は、ムシ歯と歯肉炎に、大人の場合は歯肉炎から進行する歯周病に気を配らなければなりません。患者さんばかり責めるわけにはいきません。患者さんと治療する側の両方の協力が成否の分かれ道になりそうです。要するに、お互いが、どれだけ注意を払っているかの問題でしょう。
矯正歯科医が患者さんを指導する立場にあることは明白ですから、必要に応じて患者さんにいろいろな指示をしなければならないでしょう。

矯正装置は、口の清潔度にはマイナス要因であることは間違いないことです。患者さん自身が、それだけ入念に歯ブラシを使って口の清潔を守る一方、歯科医側も厳格にカリエスや歯肉炎などのチェックをする必要があります。

こうした仕事は、歯科衛生士さんが得意な分野ですから、そのクリニックの態勢として、キチンと患者さんを指導するように心がけているはずです。
患者さんごとに、担当の歯科衛生士を決め、たとえば口腔清掃が足りない患者さんに対しては、その担当の衛生士の責任、というようなシステムを院内で決めることもよいでしょう。歯科衛生士さんにとっても、責任ある仕事を任されているということになり、かえってやる気を起こすものです。

以前に「矯正治療でムシ歯になった」と提訴され、結果的に歯科医師側が敗訴した例がありました。モメた原因は、どうやら両者側のコミュニケーションの不足にあったようですが、歯科医師側に、監督指導の注意義務の責任を求めた判決といえましょう。
一方、歯を磨くことは、本質的には患者さんの自己責任の問題です。ただし、矯正装置が入っているのですから、磨く方法等の指導は歯科医師・歯科衛生士の仕事です。

骨の中で歯が動くのは
歯は、上顎と下顎の骨の孔(あな)、いわゆる歯槽に植わっています。ただ孔に刺さっているだけなら、逆立ちでもしたら抜けて落ちてきそうなものですが、歯が骨にしっかりと植わっているのはそれなりの理由があります。
歯が安定していられるには、4つの支持組織が健康でうまく働いてくれなければダメです。その4つの組織とは「歯肉」「歯のセメント質」「歯根膜」、そして「歯槽骨」です。
乳歯がグラグラして、抜けそうになっても抜けないことがあります。これは最後の支持組織である「歯肉」のおかげです。歯肉はけっこうガンバリ屋さんで、乳歯を最後まで守ってくれています。

脱落寸前の乳歯は、すでに他の3つの支持組織の応援が得られなくなっているのです。いや、乳歯ばかりでなく、歯槽膿漏などで、ぶらぶらの永久歯もけっこう抜けないでいるのは、やはりこの歯肉の努力によるものです。
食事のたびにそのグラグラが気になるどころか、乳歯の根っこの一部が逆に歯肉に刺さったりして痛くなると、歯肉も「もう自分の仕事は終わった」ということで、歯はまもなく抜けます。

矯正力も外部からの刺激
歯根の部分は薄いセメント質でおおわれていますが、それはさらに歯根膜という軟組織で包まれています。この歯根膜が、要するに歯根と歯槽骨をつなげる役目も果たしています。歯槽膿漏の歯が、なんとか抜けずにいられるのは、歯根膜組織がいくぶんでも生きて歯根の表面に残っているからです。

セメント質は、部位によって厚みが違います。歯の頭(歯冠部)と歯頸部に近いところでは200~300ミクロンですが、根尖部(こんせんぶ)に近いところでは、年とともに多少厚くなったりします。

歯根膜は、血管や神経に富んだ非常に敏感で柔軟な組織です。ご飯を食べているときに、ごく小さな砂のようなものまで感知できるのは、この歯根膜にあるセンサーのおかげです。

つまり、食事中に「何か変なものを噛んだらしい」という信号が脳に送られ、「それは砂だ!すぐ吐き出せ!」という命令がおりる、そういう仕組みというか、システムが出来上がっています。
矯正力も、外部からの刺激の一つといえます。上顎前歯に対して歯の裏側から前のほうに力が加わったとしましょう。

物理的にいうと、歯の重心は歯根の中心の少し下あたりにあると考えられますから、歯の頭の部分、つまりエナメル質に与えられた矯正力は、歯の重心から離れている分だけ、歯を多少なりとも傾斜させることになります。
歯そのものを平行に移動させるには、その力に対抗できる力が必要で、それは矯正装置のブラケットに組み込まれた凹みと、それにはめ込まれる細い矯正用ワイヤーの弾性と形状を巧みに利用するという、かなり熟練を要する作業です。

ブラケットのサイズは縦2~3ミリ、横3~4ミリ程度の非常に小さなもので、その中心部に横の深さ1000分の22~25インチ、上下幅1000分の18インチ程度の溝が切り込まれています。そこに、断面が丸や角の、いろいろな大きさと種類のワイヤーをはめ込んで、歯の三次元的移動をしようというのです。さまざまな工夫と矯正力のさじ加減が、歯科医の腕の見せどころということになります。
 

大人も矯正が可能

成人の矯正治療
上の歯と下の歯、嚙み合わなければ、ものを食べるにも、話をするにも支障が出て、健康上の問題にもつながりかねません。個性と納得できるうちはいいですが、人目が気になるという人もいます。

一般に悪い歯並びといわれるのは、いわゆる、出っ歯、受け口、乱ぐい歯、八重歯、などで歯科では上下の歯が垂直方向と水平方向に2~3mmオーバーラップするのが良いとされます。これ以上ずれている場合は不正咬合という診断名が付けられ、例えば出っ歯ならば、上顎前突Ⅱ級Ⅰ類という正式な呼び方があります。

例えば、歯の隙間が空いていると、ものを飲み込む際に、そこに舌を当てないと飲み下せません。また、隙間には汚れがたまりやすく、ブラッシングもしにくいです。
かつて、歯科矯正といえば、成長過程にある子どもがするものというイメージがありましたが、最近は、40~50代になり、改めて歯並びを気にし始める人が増えています。

また、髭や白髪のように、加齢に伴ってもたらされる不正咬合もあります。成人になってしまうと、骨が硬くなってもはや歯を動かせないと思われていたのが、子どもよりやや手はかかるにせよ、矯正が可能であることも明らかになりました。

治療計画を立てる
歯科では、まず、前後左右からのX線写真を撮り、顔の骨に曲がりはないか、頭や顎に対する前歯の角度はどうかといったことをチェックします。
場合によってはMRIを撮って顎の関節に問題がないかを見ることもあります。また、永久歯が生えてこないという人の場合は、CT撮影をして埋まっている歯がないかを確認します。加えて、顎の筋肉の動きを調べるため、筋電図検査を行うこともあります。

これらの検査に基づき、治療計画を立てます。矯正治療は、ほとんどの場合は健康保険が適用されず、検査から抜歯まで、すべて自費診療になります。ごく一部、健康保険が適用になるのは、顎変形症があって外科手術が必要な人、口唇口蓋裂(こうしこうがいれつ)やダウン症などの先天異常の人などです。

治療は、ゴールとする良いかみ合わせを目指して、歯の一本一本にマルチブラケットといわれる金具を装着してバネやゴムの力を用いて歯の位置を正します。わきだけ、下顎だけと、目的により装着場所はさまざまです。治療期間が最短になるよう考慮され、また、見た目にも配慮して白色にコーティングしたワイヤを用いたり、前歯だけは透明な装具を使うこともあります。

かつては、歯に金属バンドをひと巻きしてから金具をつけていましたが、歯に直接装着することで清掃がしやすいので虫歯も減りました。見栄えもよく、心理的な負担も軽減されます。また、ニッケル・チタン製の超弾性形状記憶合金の普及で、痛みも軽減され、装着感や機能も向上しました。

治療期間の目安
治療に要する期間の目安は、金具の装着が約2年間、その後、後戻りを防止するために、リテイナーという器具を、やはり2年間ほど装着します。こちらは、最初のうち食事と歯磨き時以外は付けたままにしなくてはなりません。金具の装着中は月1回定期的な通院をし、適宜、ワイヤを交換します。硬いせんべいなどを食べると、装具が外れる恐れがあります。

お金さえ払えば、誰でも理想的な嚙み合わせを手に入れられるわけではありません。特に歯周病で、歯を支える骨のレベルが下がっていると、歯を移動させて新しい場所に歯を維持することは難しいです。


矯正は生体反応との共生
矯正治療のための装置をつけた当初は、多少の痛みや違和感はありうることです。とにかく、髪の毛が1本口に入ってもわかるくらい敏感な場所ですから、ブラケット矯正装置が入ればなんらかの反応があるのは当然です。場合によっては、硬いものが2~3日食べられなかった、ということを聞きます。

何事も最初が大事ですから、矯正装置を入れても、その日には矯正力を使わないようにするのもよいでしょう。
最初の日は、患者さんの体に「ごあいさつ」するだけでいいのです。患者さんの体とまず「仲良し」になることが肝心だからです。
生きている体は、自己防衛のため、外力や外敵には必ず反応します。生体反応です。程度にもよりますが、「痛い!」というのは「拒否反応」です。

矯正治療の成否は、実はこの生体反応といかに「共生」するかにかかっています。
要するに、矯正装置というものは、体にとっては「異物」に違いないのですが、善玉と悪玉のコレステロールがあるように、異物にも善玉・悪玉があるのです。
狭心症治療の血管形成手術のとき、心臓を取り巻く冠動脈の狭窄部をバルーンで広げ、薄い金属性のステントを置いてくる場合もそうです。これは善玉の異物の代表でしょう。

歯の矯正装置と共生するということは、「この装置は、もっとよく噛めて、もっとキレイになり、もっと健康で賢くなるための装置で、善玉の異物です。」ということと同じです。
子どもの患者さんはもちろん、大人だって口の中に「機械」が入るのですから、どうなることかと心配しない人はいないでしょう。

矯正をしている友だちから、「矯正って痛いよ」といった余計な情報も与えられていたりしますから、必要以上に神経質になっているのです。
初診の段階から、「この患者さんは神経質かな、痛がり屋さんかな」と、できるだけ早く、そして正確な情報を集めるため、いろいろ矯正や歯の話をしながら「さぐり」を入れるのです。

矯正力の繰り返しで歯根は溶ける
矯正装置が入っただけでも歯が痛いというのは、歯の根をとりまく歯根膜が軽い炎症を起こすからです。少し冷たい水をしばらく口に含んでおくとか、場合によっては鎮痛剤を飲む(子どもは半量)という程度までいろいろです。なかには逆に「全然痛くないのですが、これでいいのでしょうか」という電話もあるそうです。
まちがって、強すぎる矯正力が与えられると、どうなるでしょう。歯根膜は急激に強く圧迫されるため(顕微鏡的なレベルで)、血管も神経もつぶされてパニックを起こします。

歯根膜の血管が押しつぶされると、そこから先には血流が届かないので、その周辺の組織は壊死状態になり、その変性した組織が、逆に歯の移動を一時的に妨げる働きさえします。もちろん、そんなことが起これば激痛になりますし、歯の動揺もひどくなります。こういう状態が続くと、歯根と歯槽骨は骨性癒着し、歯は動いてくれません。

歯の周りの歯槽骨は骨ですから、歯の移動に伴って一時的に溶けても(吸収されても)再生できますが、歯には元来、再生能力はありません。矯正力の反作用として受ける歯根表面のセメント質は非常に薄いため、すぐ下の象牙質にまで吸収が進むと、歯根がとけ始めて、やがて短くなります。

歯を押したり戻したりの反復作用を繰り返すと、歯根は、たちまちとけ始めます。
昔は、矯正治療は子どもでしたから、せいぜい小児歯科医との連携で事がすんでいましたが、今のように成人の患者さんが増えると、いろいろな専門分野の勉強も必要になります。

特に、成人矯正例では、矯正装置を慎重に使用すれば、歯の移動は比較的楽です。しかしこの場合の移動は、組織学的な骨の改造をともなわないもので、保定装置の使用を怠れば、すぐにあと戻りをしてしまいます。もともと歯槽骨の支持がないからで、それなりのケアが必要です。

矯正治療は、基本的に自分の歯だけで嚙合わせを再構成できるのが利点です。治療後は心の安定を得られる人が多いようです。セルフケアが必要な面もありますが、歯並びや嚙み合わせが気になる人は検討してみてください。
 

歯列不正の原因とは

縄文人と弥生人
日本人は「モンゴロイド(黄色人種)」と言われますが、東京大学名誉教授で自然人類学者であった埴原(はにわら)和郎氏の「二重構造モデル」の説によると、その系譜は二つ存在すると考えられています。

一つは、日本がまだ大陸と陸続きだったころ、東南アジアを経由し、南方からきた南方系モンゴロイド(古モンゴロイド)、もう一つは、バイカル湖周辺で寒冷地に適応し、中国、朝鮮へと南下して紀元前三世紀ごろ渡来した北方系モンゴロイド(新モンゴロイド)の系譜であり、前者を縄文人、後者を渡来系弥生人とするものです。
しかし、近年の分子人類学者によるミトコンドリアDNAを用いた解析などでは、縄文人は程度の差はあれ、東南アジアと北東アジアの両方の要素をもち、均質な集団ではないことがわかっています。

国立遺伝学研究所教授であった宝来氏の研究によると、本土日本人は弥生人の遺伝子を65パーセントもつことがわかっており、縄文人と弥生人の混血であることが示唆されています。
歯は人のなかでももっとも保守的な部分であり、大きさが形などの形質は遺伝的な要素が大きく、変化しにくいため、しばしば形質人類学の研究対象とされてきました。この形質人類学においては、縄文人と弥生人の歯は明らかな違いがあります。縄文人の歯は小さく、東南アジアの人々との共通点をもっており、「スンダドント(スンダランドの人々の歯)」と呼ばれています。
一方、弥生人の歯はサイズが大きく、前歯の裏側の形態は中央に窪みがあり、両サイドは辺縁隆線が高いシャベル型をしています。

また上顎大臼歯の舌側に見られるカラベリー結節や、上顎第一小臼歯に見られる介在結節、下顎大臼歯の屈曲隆線や咬合面のX型の溝型などが発現する頻度が高くなっています。これは、縄文人が単純で小さい歯をしているのと対照的であり、縄文人と弥生人の歯の形質には、明らかな違いがあることを意味しています。

咬合干渉
形質人類学者で札幌医科大学准教授である松村博文氏の研究によると、関東の現代日本人の歯は弥生型(シノドント)と縄文型(スンダドント)が、それぞれ7対3の比率で構成されています。遺伝的支配が強い歯の形態比率は弥生人と縄文人の混血率を表しているのではないかという松村氏の仮説と、宝来氏らの遺伝子研究の結果は、ほぼ一致しています。
つまり、現代日本人の歯や骨格などは弥生人の遺伝的影響を強く引き継いでおり、弥生人に見られる原始的でサイズの大きい歯は、歯列不正になりやすいのです。

歯並びが悪いと、見た目以外にもさまざまな問題を引き起こします。クラウディングに代表されるような凸凹の歯並びは、歯ブラシが歯と歯のあいだに入りにくく、プラークが残りやすいので、虫歯になったり、歯周病になったりします。
さらに大きな問題は、歯の位置異常によって起きる咬み合わせの不良です。咬み合わせは歯の位置の影響を受け、歯並びが悪いと、本来、咬み合わせで当たるべきところに当たらず、当たってはいけないところに当たるようになります。
食べ物を咬むという行動は、普段は無意識のうちに行われ、咬筋や側頭筋などのさまざまな咀嚼筋のほか、唇や頬、舌などの筋肉が互いに協働しながら、絶妙に行われています。これらは、大脳皮質の咀嚼野や運動野の顔面領域などがネットワークを組むことによって、咀嚼運動を調節しているのです。

しかし、咬合干渉といって、たった1本の歯並びが悪いだけでも、その部分がほかの歯よりも先に当たり、これを引き金として、下あごのズレやゆがみが起こります。このような咬合干渉は、一般的には、歯が生えたり、抜歯したまま放置しておいたりすることによって歯が移動するなど、比較的長期間かけて起こるものと、虫歯治療などに際して、高さが合っていない補綴物を入れた場合に、咬み合わせが狂って起こるものがあります。
歯肉や歯根を支える歯槽骨などの歯周組織の抵抗力が強く、咬む筋力も強力な人は、このような咬み合わせの狂った当たりを、歯を摩耗させることで補正しようとします。

それに対して、歯周組織の抵抗力が弱い人は、咬み合わせが悪いために歯槽骨が抜けて歯がぐらつき、動くことによって咬み合わせの不良を解消しようとします。このように、咬み合わせが狂っていることが原因で歯槽骨が溶けることを、「咬合性外傷」と言います。

しかし、咬合干渉があっても、長期間のうちに起こるものは、無意識のうちにあごをずらして咬む癖ができあがり、咬み合わせに異常を感じないケースが多く見られます。つまり、歯並びや咬み合わせのズレを、あごをずらして咬むことによって調整しようとするのです。あごのズレは頭部の重心を狂わせ、脊柱が曲がり、肩こりや首凝り、腰痛、手足のしびれなどの全身の不調を引き起こします。

舌房の重要性
舌は筋肉の塊で、じつに多くの役割を担っています。表面には、食べ物の味を感じる味蕾と呼ばれるセンサーがあり、甘味、塩味、酸味、苦味などを感じ取ります。口の中に入った食べ物は、舌でさまざまなところに運ばれ、歯で噛み砕かれ、嚥下されるのです。さらに、舌は微妙にその形態を変え、声門(左右の声帯のあいだのすき間)と強調することによって、さまざまな音を発音することができます。

このように、舌は私たちの生命活動において非常に重要な役割を担っていますが、いっぽうで、歯並びを内側から支える堤防のような役目もしています。舌が上部を上顎骨の口蓋に、下部を下顎骨と咀嚼筋群に、奥は咽頭に囲まれた空間にあり、これを「舌房」と呼んでいます。
舌房が狭くなると、気道を確保しようとするために、つねに舌を前方に突き出して口呼吸をするようになります。上下の前歯のあいだに舌が入り込み、口を閉じても「開咬(前歯に隙間ができること)」と呼ばれる歯列不正になります。

歯並びと酸欠
歯並びが悪くなると、舌は前方と側方を歯に囲まれているので舌房が狭くなります。とくに、下あごが後退していたり、V字型やG型の狭い歯列や、過蓋咬合(奥歯の咬み合わせが低く、前歯の重なりが深い歯並び)など、奥歯の咬み合わせの高さが低いケースでは下房が極端に狭く、行き場のない舌は後舌方に下がり、気道が圧迫されて狭くなります。そうなると、わずかではあっても慢性的な酸素欠乏状態になり、頭痛や冷え性の原因になります。
ご承知のとおり、酸素は私たちのエネルギー活動になくてはならないものであり、体内で効率よくエネルギーを生成するために必要なものです。なかでも、脳は酸素欠乏にもっとも敏感な臓器です。脳は体の全酸素消費量の約20パーセントを占めており、慢性的な酸素不足は、頭痛や、記憶力・集中力の低下を招き、倦怠感や疲労を感じやすくなると考えられます。
また、酸素が不足すると血液中のヘモグロビンの量も減り、血流が悪くなり、冷え性になります。冷え性自体は病気ではありませんが、血行が悪いと免疫系統の機能が低下し、肩こりや首こり、腰痛、手足のしびれなどの原因にもなります。中高年ならまだしも、最近では、小学生や中学生でも肩こりや腰痛を訴える人がとても増えていると実感しています。
いびきは、太っている人や扁桃肥大、鼻疾患があり口呼吸の人、舌が大きい人などに起こりやすく、この人たちに共通するのは舌房が狭いことです。そして、歯並びが悪く、舌房の狭い人も、いびきが起こりやすくなります。
 

歯並びと文化

歯の健康を決定する要素
古くから「明眸皓歯(めいぼうこうし)」と言われ、美しく澄んだ白くきれいな歯並びは、美人を形容する代名詞の一つとして考えられてきました。歯列矯正を希望する方の多くが、見た目の審美的な改善を治療の目的にしています。

しかし実際の歯並びは、多かれ少なかれ、ほとんどの方がなにかしらの問題を抱えていて、本当に理想的な歯並びをしている方はごく少数だと言えます。
例えば、平成17年に厚生労働省が行った歯科疾患実態調査では、12~20歳の約4割にクラウディングが認められたという報告があります。ほかに、上顎前突(出っ歯)や反対咬合(受け口)などの不正咬合を合わせると、かなりの方が歯並びに問題を抱えていることになります。

歯がきちんときれいに並ぶかどうかには、いろいろな要素があります。現代人のあごは、程度の差こそあれ退化傾向にあり、その傾向は若年層ほど強く現れています。これは、食習慣が激変し、硬いものを咬まなくなったことが大きいといえます。
つまり、歯の大きさに対してあごが小さくなり、歯が正しく生えるスペースがなくなったことが、歯並びが悪くなる最大の原因なのです。四人掛けの椅子に5人も6人も座ろうとしても座れないことを想像してみてください。

また、遺伝的な要素も歯並びに多いに関係しています。子どもの顔が両親に似るように、骨格や歯並びも遺伝的な影響を強く受けます。口腔内を診ると、歯の形や歯並びが親子で驚くほど似ているケースを、よく見かけます。
出っ歯や受け口はその典型ですが、それ以外の歯列矯正も頻度や程度の差はあれ、遺伝的な影響を受けています。
そのほか、胎児の時期に母体の健康状態や栄養状態に影響を受けた先天異常の結果起こるものや、結核やポリオ(急性灰白髄炎)などの全身疾患の影響を受けるものなど、さまざまな原因があります。

一つひとつの歯の位置異常は、乳歯と永久歯が正常に生え変わったかどうか、歯の数が多すぎたり少なすぎたりしていないかなどの、局所的な問題が大きく関与しています。
歯がどの場所に生えるかというのは、おそらく遺伝的にすでに設計されていると考えられますが、生えたあとの歯の位置を最終的に決める要素は、じつは舌や頬、唇といった難組織にあります。
頬や唇などの外側からの筋肉が押す力と、舌が内側から支える力のバランスがとれるところに歯は並んでいくのです。そこには当然、上下の歯の咬み合わせも大きく関係しています。

文化の違いによる影響
周知のとおり、日本人は元来、狩猟や採集を食の中心にして食文化を築いてきました。縄文時代は土器を使い、どんぐりなどの木の実をあく抜きする技術を習得して保存食とし、個体数を増やすことに成功したと考えられています。そのほかにも、芋や穀類、魚介類、肉類など、地域によってじつに多彩な食文化を形成していきました。
弥生時代に入り、畦(あぜ)や灌漑(かんがい)水路などをつくる水田稲作技術が大陸から持ち込まれ、鉄器などの出現によって調理方法も発達しましたが、基本的な食物の構成は変わりませんでした。

すでに同時代に家畜を飼育し、肉食が中心であったヨーロッパなどとは異なり、日本はその後も狩猟や採集、農耕を基本とする食文化が育まれたのです。野生獣の肉も食べていましたが、仏教の教義により肉食は禁忌とされて定着し、これが江戸時代の末期まで続きました。
日本では、魚介類を真菜(まな)、野菜類を蔬菜(そさい)と呼び、魚介類が真のおかずで、野菜類は粗末なおかずという価値観がありました。そして、鎌倉時代から室町時代にかけて、禅寺において精進料理が深化したことにより植物中心の料理文化がつくりだされ、その後の日本料理の基礎ができあがりました。

近代になって開国して以降は肉食も解禁され、外国人客への餐応として西洋料理が広く受け入れられるようになりました。しかし、これはおもに都市部の上層階層の人たちにかぎられ、地方都市や農村部では、古くからけがれた獣肉食を常食とすることがなかなかできなかったのです。
もっとも劇的な食の変化が起きたのは満州事変に始まる戦争で、戦中、戦後は深刻な食糧難となりました。さつま芋やかぼちゃの栽培が推奨され、どんぐりやいなごなどの食用化がすすめられました。また、都市部では、物々交換の闇市で命を食いつなぐという状態でした。
このような食糧難に陥っていた日本に、GHQ(連合国軍総司令部)による食糧配給が行われ、大衆のあいだに一気にアメリカ崇拝が広がり、伝統的な日本食が疎んじられ、洋食に傾倒していきました。ご飯はパンに、お茶はコーヒーに、納豆はハムエッグに、味噌汁はコーンスープへと変わったのです。このような食生活の変化も、少しづつ日本人の歯並びに影響していきます。
 

矯正とインプラント

矯正治療で歯を動かす場合、多くは奥歯を固定源(アンカー)にして前歯を動かします。ただ、奥歯は、虫歯や歯根破折(歯茎のなかの歯根が割れること)、歯周病によって、ほかの歯より先にダメになることが多いのです。
これは、永久歯のなかでは、六歳臼歯(奥歯)が真っ先に生えてくるからです。まだブラッシングが上手にできない時期に生えるので、虫歯になりやすいのだと考えられます。

また、奥歯は強い咬合力を受けとめなければならないため、わずかであっても、咬み合わせの不正な当たりは歯根を支えている歯槽骨を徐々に溶かし、歯をぐらつかせます。そして、虫歯などで神経をとった歯は栄養の供給がなくなり、枯れ木のように破折しやすくなります。これが、歯を失う大きな原因になっています。

近年、歯科においてはインプラント治療の発展が著しく、歯がなくて困っている多くの人が、インプラント治療により再び咬める喜びを取り戻しています。インプラントは骨に直接結合するので、奥歯を失った場合でも、そこにインプラントを入れると強力な固定源になり、矯正治療が可能になります。

矯正用インプラント
矯正治療をするにあたって、患者さんも歯科医も、健康な歯はなるべく抜きたくないと思っています。しかし、現代人はあごが退化して細くなっているため、歯列を横に広げても歯がきちんと並ばない人が多くなっています。このようなケースは、従来、抜歯をするしか治療の方法がありませんでした。

歯のなかでもっとも動きにくいのは大臼歯で、これは、大きな咬合力を受け止めるために、歯根の形が複雑で表面積が大きくなっているからです。とくに、歯を奥の方に動かす場合や、骨のなかに押し込む場合には、大きな反作用の力が生じてアンカーとなる歯が動いてしまい、目的の歯があまり動かないという技術的な問題がありました。
しかし、近年、矯正用のインプラントが開発され、強力なアンカーとして反作用の力を打ち消してくれるので、従来難しかった歯の移動が可能になり、抜歯をしなくても治療できるケースが増えてきました。

矯正用インプラントは、生体になじみやすいチタンでできており、ミニスクリュータイプとチタンプレートタイプの2つのタイプがあります。ミニスクリューは、直径が2ミリ程度、長さは4ミリからあり、木ねじの形をしています。設置は非常に簡単で、痛みや腫れもほとんどありませんが、一度に多くの歯を動かしたり、大きな力が必要な場合にはあまり向きません。
チタンプレートは、ミニスクリューと比べるとすこし腫れや痛みが出ることがありますが、固定が強く、奥歯を押し込んだり、多くの歯を動かしたりするのに向いていて、状況によって使い分けます。矯正用インプラントができたことで、矯正治療の可能生は大きく広がりました。
 

矯正の後戻りについて

治療の末に自分の思った通りの歯並びにならなかったという事も失敗の一つですが、治療後に「後戻り」が起ってしまう事も失敗の一つです。通常、後戻りを防ぐ為にはリテーナー(保定装置)を使用して、移動した歯が元に戻ろうとするのを防ぎます。これを怠った場合後戻りが起こりがちです。

後戻りによる失敗が起こる原因は次の3つがあげられます。

1. 歯の根の周辺の骨が移動して時間が経っておらず、しっかりと固まっていない
2. 歯並びを悪くしたそもそもの原因が残っている
3. 治療が終わった後にアゴが更に成長した

ここではこれらについて説明していきます。

1.歯の根の周辺の骨が移動して時間が経っておらず、しっかりと固まっていない

一つ目はリテーナーの装着がなされなかった場合に良く起こる事です。「歯の根の周りがしっかりと固まっていない。」とはどういう事でしょうか?先ずは、何故矯正治療で歯が動くのか、ということから考えると解りやすいです。

そもそも歯が動くのは、歯に弱い力を加えることで圧力のかかった方の骨が溶けて、そこに歯が移動する為です。では、移動して空白になった部分はどうなるのかというと、そこは新しい骨が出来ます。この溶ける・埋めるの繰り返しが歯が移動するからくりなのです。
ですので、歯を移動させたばかりの状態は骨がしっかりと固まっておらず(組織が安定していない)、不安定な状態です。この時にせっかく動いた歯が戻らないようにリテーナーを付けるのです。

このリテーナーを付ける期間は、場合にもよりますが1年~2年かかります。もう歯並びがきれいになったとばかりに油断するのではなく、歯周組織が落ち着き安定するまで経過を見る必要があるのです。ただし、この時期の来院は数カ月に1回程度と頻度は少なくともOKです、時間を使ってゆっくりと最後の治療を終えましょう。

2.歯並びを悪くしたそもそもの原因が残っている為

「歯並びを悪くしたそもそもの原因が残っている」と言われると、何のことか良く分からない方もいらっしゃるかと思います。歯並びの悪さを直したとしても、根本の原因が解決されていない場合がこの2番目になります。

歯並びの悪さを引き起こした原因というと「生まれつき」「遺伝」など想像される方も多いかと思いますが実は「横向き寝、うつ伏せ寝」「指しゃぶり」「頬杖」などの習慣が原因で引き起こされているケースも少なくありません。

例として、「指しゃぶり」は「開咬」「出っ歯」の原因になる場合がある事が分かっています。「指しゃぶり」自体は多くの赤ちゃんが日常的にやっている行為なので多少であれば問題ありません。「指しゃぶり」は赤ちゃんが胎児の時から赤ちゃんが行っている事がわかっており、精神安定の効果もあります。問題は、長期にわたり続いた場合です。「指しゃぶり」の時の特有の口の形状から、奥歯が噛んでいるのに前歯が噛み合っていない状態になったり、酷い場合では顎の骨の形が変わってしまい、指が入ってしまうくらいの大きさの隙間(開咬)が出来てしまう事もあります。「指しゃぶり」を続けると継続的に弱い力が歯と骨に加わる為、結果として前歯が上に押されて開咬になったり、出っ歯を引き起こしてしまうのです。
これらが原因の場合、矯正によって歯並びを正しく治したとしても「指しゃぶり」のようなそもそもの原因を直さない限りは、また弱い力が継続的に歯と骨に加わり矯正の後戻りが引き起こされるのです。
よってこれらのような一種の「癖」が原因であるならば、矯正治療と一緒にそれも取り除けるようにトレーニングを行う必要があります。
ただし「指しゃぶり」の場合、5歳くらいの子供が精神安定の為に無意識に行っている場合も多く、必死にやめさせようとすると本人にストレスがかかる場合もあります。5歳くらいまでは特に問題はありませんので、やめさせるタイミングはそれ以降で見極める必要があります。長期に渡り癖がついてしまっている場合には、一度専門医に診察してもらうと良いです。

3.治療が終わった後にアゴが更に成長した

顎の骨の成長は何歳まで続くでしょうか?通常であれば15歳~18歳まで続くと言われています。小児矯正はこの成長時の力を利用する形で行われますが、骨格の成長スピードや大きさ・終わるタイミングを考慮しきれずに治療を終了させた場合に、顎の過剰な成長により歯並びが悪くなるケースがあります。歯並びや噛み合わせが崩れてしまうのはもちろん、骨格がおかしくなってしまう場合さえもあり得ます。

また、矯正が終了した後に親知らずが生えて来た場合など、想定していなかった口腔内の環境の変化も結果として矯正治療後に歯並びを悪くさせてしまう原因になり得ます。

10~11歳くらいから起こる2次成長が終わるまでは口腔内の環境は常に変化する可能性がある為、治療の終了をもってよしとせず、顎の成長が完了するくらいまでは保定と定期的な診察を受け続ける事が重要です。特にお子さんの成長のスピードやその変化は個人による差が大きく、顎の発達や歯の動き方は変わります。
 

矯正の種類

矯正といえば、ギラギラとした金具を歯一杯につけた様子を想像する方が大方と思います。
しかし、矯正を行う為の装置と方法は患者さんのニーズに合わせて、様々な形で進化してきました。各装置や方法にはメリットデメリットもあり、「装置が目立つか目立たないか」「費用」「症状に適しているか」「矯正にかかる期間」「取り外しが可能か」など状況に応じてベストなやり方を選択することも重要です。各矯正歯科医院によって、またはドクターによって得意な治療方法が異なる事もあり、よい治療方法を選ぶにあたっては、一人ひとりに合ったベストな方法を提供する良いドクターに出会う事が近道です。患者さん自身が方法や装置にこだわるのではなく、先ずカウンセリング時に要望を先生に話して最終的に納得のいく自分にピッタリの方法を選択して下さい。
ここでは様々な装置と方法をご紹介していきます。

最もポピュラーな金属ブラケットによるワイヤー矯正
最も歴史と実績があり、そして普及している基本的な矯正方法が金属ブラケットによるワイヤー矯正です。ブラケットとは歯の表に付けるパーツで接着剤により歯に取り付けます。実際に歯を動かす力はブラケットを装着するだけでは生まれず、それにワイヤー(針金)を通す事で初めて生まれます。ワイヤーは個人の歯やあごの形態、歯に加える力や反作用を計算した上でアーチ形に曲げる必要があります。このワイヤーを曲げる技術は矯正歯科医の力量が多分に試される所でもあり、かなりの時間と訓練が必要です。ワイヤーは一度曲げれば良いというものではなく、毎回の調整時に治療の進行度合いに合わせて変えていく必要があります。

ワイヤーを曲げることについて、昨今ではスキャナーと3Dモデリングを用いた「デジタル矯正」も行われるようになってきました。スキャンしたデータを元にロボットのアームが自動でワイヤーを作成する方法で、口腔内を3Dデジタルモデルとしてデータ化しあらゆる角度で分析、高い精度と短い期間で治療が行えます。

このようなワイヤー矯正ですが、そのメリットはなんといっても豊富な実績数にあり、様々な症例に対応する事ができます。また、比較的に短期間で治療が終わる傾向にあります。逆にデメリットはやはりブラケットが目立ちやすく、見た目を気にされる女性には抵抗がある場合が多いです。また、他の方法にも一定で言える事ですが、ブラケットを装着する為に歯磨きがしにくく虫歯になりやすい傾向にあります。もし虫歯や歯周病が在る場合は矯正を行う前に治療を行って下さい。

審美ブラケットによる目立たない矯正
ブラケットの見た目が気になる、というデメリットの為に考え出されたのが審美ブラケットです。これはブラケットやワイヤーをより歯の色に近い素材の物を使う事で目立たなくしてしまう方法です。一般的なブラケットはメタルブラケットと呼ばれるように金属で出来ていますが、この場合はプラスティックやセラミックなど歯の色に近い物を選びます。ワイヤーもホワイトワイヤーと呼ばれるような、同じように目立たない歯の色に近いものを選びます。通常のブラケットと比べれば格段にわかりにくくなりますが、完全に見えなくなるわけではないので、その点は許容しておく必要があります。またデメリットとしては費用が若干高くなる事が挙げられます。

余談ですが最近では逆に目立つ色をブラケットに与える事でファッションとして楽しむ事も盛んに行われています。日本人の感覚では流行になるまでまだまだハードルが在るのが現実ですが、タイ・インドネシア・中国などアジア諸国ではブラケットをカラフルに装飾することをお洒落として楽しむ若者が増えています。国や文化によって異なりますが、矯正は一種のステイタスでもある為、目立つ事を好まれる場合があります。日本人は元来矯正器具が目立たない事を望む声が多く、この点は文化や価値観の違いが色濃く反映される所です。

ニーズがどんどん増えている裏側矯正
目立たない矯正を求める声に応じて急速に普及しているのが裏側矯正(舌側矯正)です。歯並びのコンプレックスを解消して綺麗な口元を手に入れたい、でも矯正装置が目立つのは嫌。そんな声に応える事ができます。名前のとおり矯正装置を歯の裏側に取り付ける事で表からは見えない為、本人が装置が付いている事を言わなければ他人からは付いている事が分かりません。
裏側矯正のデメリットとして、治療成功の為に高度な技術が必要という点が挙げられます。歯の裏側は見えにくく、人に寄って形のばらつきが多い為、裏側矯正は難易度の高い治療法とされてきましたが、昨今は技術の発達により十分に成功する事が出来ます。また、他にデメリットとして歯の裏側にある為に、発音に障害を与えたり歯磨きが難しくなる点が挙げられます。この点においては小さいブラケットを用いることにより、影響を少なくする事も最近では行われています。

裏側矯正の装置は表側と異なり事前に歯型をとって、模型を使って綿密に矯正装置を作成する工程が必要となります。先ほども述べましたとおり、歯の表面は割と面積も広く平らな場合が多いですが、裏側は面積が狭く人に寄って形のバラつきが激しい部分でもあります。一人ひとり、1本1本の歯に適切な位置をもってブラケットを付けていく為には模型を使った工程と歯科医師の卓越した技術が必要です。そのような事もあり通常の矯正よりも費用は高くなる傾向があり、先生選びにあたってはより豊富な症例を抱えた優秀な歯科医師に依頼することが重要です。裏側矯正を選択する事で治療期間が長くなる、といった意見もたまに聞かれますが、それも歯科医師の技量次第と言えます。

取り外しを意識したマウスピース矯正
裏側矯正と同じく、ここ数年で大きく普及しているのがマウスピース矯正です。ブラケットを使ったやり方とは全く異なり透明なマウスピースを使う事で歯を動かす手法です。メリットは沢山あり、先ずひとつに目立たない事が挙げられます。自分から言わない限りは気づかれない事がほとんどです。また、装置が口の中の粘膜にあたる事が無く、また歯に加わる力が少ない事から比較的痛みが少ないと言われています。更に外したい時には外す事が出来るので食事や急用など必要に応じて、患者さんの力で取り外す事が出来ます。もちろんマウスピースを洗う事が出来、ブラケットが付いている場合と違い歯磨きへの支障は全くありません。金属アレルギーを考慮しなければいけない場合にも有効と言えます。

このようにメリットが多いマウスピース矯正ですがブラケットによる矯正と同じ様に、症例に合わせて適切なマウスピースを選んだり、治療の状況に応じて適度に処置を行うなど歯科医師の技量が試される場面が多々登場します。昨今ではマウスピース矯正のみを行っている歯科医師も増えていますが、実施にあたっては総合的に矯正治療を行って実績を残している先生に相談する事が安心して治療を受ける為のコツです。

コルチコトミーとインプラント矯正
これまで述べて来たのは一般的に行われている矯正治療の装置と方法の種類です。銀座矯正歯科では更にコルチコトミーやインプラント矯正も行っているのでご参考下さい。
 

矯正を始める上で知ってしておいてほしいこと(基礎知識)2

成人の矯正治療の場合には、基本的に歯を動かせる隙間がないので、歯を並べるためにスペースをつくらなければなりません。そこで、歯列を横に拡大して広げるか、犬歯の隣になる第一小臼歯を抜歯する方法がとられます。

ただ、抜歯をしないで無理に歯列を拡大しても、歯が並びきらないため、いたずらに時間を浪費することになりかねません。また、仕上がりも、満足できるものにはなりません。

小臼歯抜歯をした場合の治療計画
小臼歯を抜歯した場合、このスペースを埋めるには、順調にいっても1年半~2年くらいの期間が必要になります。上下の正中(真ん中)や、上下左右の犬歯、大臼歯の位置関係を細かく仕上げると、もっと時間がかかることもあります。なかには、「ほかの歯医者に何年も通院しているのに、いっこうによくならない」という方もいるでしょう。そういう患者さんの口の中は、どこを改善しているのか首を傾げたくなるようなケースがあるそうです。その多くは、治療計画に無理があると考えられます。このような場合には、担当の先生とよく相談する必要があります。

あごの僅かな「ずれ」まで考えた治療計画
歯列矯正を受ける方の多くが、審美的な改善を目的にしています。よほど難しいケースでない限り、現在のシステム化された治療装置を使えば、ほとんどの矯正医はきれいに歯を並べることができます。

しかし、現在の歯列矯正には、あごを三次元的に正しい位置(三次元的正中)に調整して歯を並べていくというビジョンがないことが問題なのです。歯列不正のある人は、歯の位置の異常により、程度の差はあれ、あごがずれている可能性が高いと言えます。そのことを考慮せずに矯正治療を行うと、あごがずれた位置で歯を並べていくことになります。

あごのずれが骨格非対称の原因に!?
これでは、歯はきれいに並んでも、あごが正しい位置にないので、肩こりや首こりなどの体調不良が生じます。そのうえ、矯正して歯を移動しているあいだに、下あごはもともとずれている方向にずれていく傾向にあります。その結果、矯正治療後、全身の不快症状がより悪化するケースが多くなるのです。
成長期にある子どもの場合は、歯やあごの動きが速いので、この時期にあごのズレを発見すれば、早期に正しい位置に誘導して、比較的短期間で改善することができます。しかし、そのまま放置すると、成長につれてあごのズレは大きくなり、骨格が非対称に発育していきます。

筋力の低下とあごのずれ
最近では、小学生でも肩こりや腰痛を訴えるケースが増えていますが、軟食化によって咀嚼筋の筋肉が低下しているため、あごのズレが起こりやすくなっているのです。これに、運動不足による全身の筋力低下が加わり、さらに低年齢化していくのではないかと言われています。

いっぽう、成長期を過ぎた成人では、あごのズレが習慣化しているので簡単には治りません。あごのズレを修正するためにスプリントを使い、半ば強制的に正しい方向にあごを誘導するリハビリが必要です。長年にわたってズレが定着していますから、なじむまでに時間がかかります。

奥歯の咬み合わせについては、補綴物を用いて微細に調整していく必要があります。成人の場合は、咬み合わせの許容範囲がせまいため、矯正治療だけではミクロン単位で歯を移動させることが難しいからです。

全身症状も改善
いままで述べたように、明らかなあごのズレがある場合には、矯正治療の前に、そのズレを補正しておく必要があります。しかし、現時点では、そのようなビジョンのもとに治療を行っているところはほとんどありません。
矯正は単に歯並びをきれいにするだけでなく、全身症状も改善する威力があるのです。

顎偏位症
顎偏位症の患者さんは、3つのタイプに分類することができます。

1.虫歯の治療などで補綴(歯を被せたり詰めたりすること)をしてから顎偏位が起き、体調不良を生じたもの
2.歯並びに問題があり、咬合干渉を起こして顎偏位したもの
3.これらの混合したもの

あごのズレの補正するためには?
とくに、歯列不正の結果、顎偏位が起きたケースでは、その原因となっている歯を正しい位置にもどすことが、もっとも根本的な解決方法となります。
もちろん、スプリントだけを使ってあごのズレを補正することは可能ですが、治療の最終目標は、スプリントを使わずにあごを三次元的正中にもどし、なおかつ、この場所で上下のすべての歯が理想的に咬み合うようにすることです。

大幅なズレがある場合は矯正治療が有効
つまり、スプリントであごのズレは治せますが、もともと悪い位置にある歯は、あごのズレを治すのに邪魔になります。すこしの位置のズレは咬合調整でも改善できますが、大幅なズレがある場合には、やはり矯正治療が威力を発揮します。

例えば上下の正中が大きく狂っていて下あごが左側にずれている症例の場合、このズレを修正するためにスプリントを用いると、奥歯が点でしか当たらず、前歯には大きな隙間が残って不安な咬み合わせになります。

この状態では、たとえあごの位置が三次元的に正しくても安定して咬むことができません。スプリントを外すと、元の習慣的な位置にもどるのは明らかです。矯正治療を希望しなければ、最低限、奥歯の補綴が必要になります。

矯正治療と咬合治療がチームを組み治療にあたることが大切
しかし、奥歯を補綴しても、前歯の咬み合わせがよくならないので、奥歯に咬合力の負担が重くのしかかります。前歯は下あごを誘導して奥歯を守るガイドの役目があるので、この前歯が咬み合わせに参加できないのは、全体のバランスから言っても不利にならざるを得ません。

このようなケースでは、矯正治療と咬合治療がチームを組み、互いにいいところを出しあって、最善の「トリートメント・ゴール(治療目標の達成)」をめざすことが望ましいと考えます。

日本人の歯の形と歯列
日本人の前歯は幅が大きく、舌側(裏側)がシャベルのように深く窪んでいる傾向があります。このような前歯の形態に適した歯並びはU字型の歯列です。
この歯列は、患者さんがあこがれる歯並びとは必ずしも一致しないかもしれません。歯列のもつ意味や、その果たす役割を知らない一般の方々は、細い歯列にあこがれる傾向があります。

モンゴルやブータンなどで下顎力や咬合力などを測定し、歯形を採取して歯列形態などを調査した結果では、モンゴルの南ゴビで伝統的な遊牧をして生活する人々の歯列はより原始的で、その形態はU字型だったそうです。

この形態の人々は健康的で力強く、全身の不快症状を訴えることもありません。

矯正歯科や審美歯科を訪れる患者さんのなかには、ときとして白色人種のようなスマイルをイメージする方がいますが、日本人はコーカソイド系の欧米人とは頭型(上から見た頭部の形態)が基本的に異なり、前後径が短い短頭型が一般的です。

渡来型弥生人の遺伝的要素が強い日本人の歯は幅が広く大きいため、歯列の形態は奥行きのあるP型(パラボラ型・放物線型)よりも、横に幅の広いU字型が適しています。なぜなら、歯をきれいに並べるために歯列を側方に拡大する必要があるからです。

なるべく抜歯をしない矯正とは
抜歯をする場合は、ほとんどが第一小臼歯を抜歯して歯を並べていきますが、これは前歯と奥歯のちょうど中間に位置し、抜歯をしたあとの歯の移動がしやすいためです。この歯を抜いたスペースを利用して、前歯のクラウディングや八重歯を治したり、上下のあごの前後的ズレを治したりしていきます。

ただ、抜歯をすると、犬歯も小臼歯も、やや舌側に倒れやすく、歯列の形態はPからV字型へと狭くなる傾向があります。これらはともに舌房(舌の部屋)が狭くなる原因になります。したがって、できることなら、なるべく抜歯をしない治療ができれば理想的です。

しかし、すべてのケースが、抜歯をせずに治療できるわけではありません。無理な治療は後もどりの原因にもなりますし、横方向への歯列の拡大に限界がある場合には、歯列はおもに前方へ拡大するため、出っ歯気味の仕上がりになる可能性があります。これらは、レントゲンや顔貌、歯列不正の程度や咬み合わせなどによって、総合的に判断する必要があります。

矯正が体調不良の原因になることも!?
大学における歯科矯正学では、レントゲンの診断と歯列模型の分析に重きが置かれており、科学的なデータのみにもとづいて抜歯か非抜歯かを決める向きがあります。

歯並びは、単に口のなかできれいに並んでいればいいというものではなく、患者さん一人ひとりの咀嚼筋、表情筋などの筋肉や唇の張り、舌の大きさなどの軟組織との調和が非常に重要です。これらの機能や形態を軽視した治療計画は、治療後に体調不良の原因になるので注意が必要です。
 

矯正を始める上で知っていておいてほしいこと(基礎知識)1

矯正治療は歯そのものを動かしていくため、多かれ少なかれ、必ず咬み合わせが変わります。治療を始める前に、まずそのことを歯科医が予測し、患者さんにも説明して、理解してもらう必要があります。

あごのズレが大きければ大きいほど、歯の移動にともなって咬合干渉(咬み合わせの邪魔な当たり)を引き起こします。子どもの場合、適応能力にすぐれているので、一時的に咬み合わせを不便に感じても許容してしまうことが多く、治療を終盤へと進めることができますが、成人ではそうはいきません。

咬み合わせの変化による不調
成人の場合は、あごの骨に柔軟さがなくなり、あごがずれた状態で何十年も咬んできたので、咬み合わせがわずかに変化しただけでも敏感に察知します。そして、肩や首のこり、頭痛などを引き起こすことがしばしばあります。

また、歯の形も、治療前の悪い歯並びに合わせて摩耗していきます。そのため、歯並びがきれいになると、上下の咬み合わせの折り合いが悪くなることがあります。咬み合わせの当たりが明らかにおかしい場合は、咬合調整をしながら歯を並べていくという認識をもつことが大切です。

抜歯が避けられないケースも
患者さんのなかには、頑なに「自分の歯を削りたくない」と言う人もいるようですが、治療後の咬み合わせの完成度を考えると、必ずしも賢明とは言えません。もっとも、矯正医も咬合理論について十分に理解しておく必要があるのですが、多くの矯正医に矯正以外の治療をしない傾向が見られるところに大きな問題があります。

例えば矯正治療を受けてから体調が悪くなったという方の多くは、抜歯をして矯正治療をしているという共通点があります。このように、抜歯が避けられないケースは高い頻度でありますが、抜歯をすると、犬歯や臼歯の舌側(内側)への倒れ込みが強くなり、咬合高径(咬み合わせの高さ)が低くなります。

下あごの運動制限からくる肩こりや首こり
咬合高径(咬み合わせの高さ)が低くなると、「舌房(ぜつぼう:舌を置いておくスペース、舌の部屋)」が狭くなり、前歯が舌側に倒れ込んで前歯の咬み合わせが深くなるとともに、ガイドと呼ばれる下あごの誘導角度が急傾斜になり、下あごの運動が制限を受けるなどの問題が起きやすくなると考えられます。

また、現在の歯列矯正は、あごの位置が三次元的に正しいかどうかを吟味する視点がないため、あごがずれているところでそのまま歯を並べて、肩こりや首こりなどが定着したり、悪化したりしている方もいらっしゃるようです。

治療後の「保定期間」とは?
歯並びがきれいになり、歯の移動が終わると、矯正装置を外します。矯正装置を外した直後は、歯や歯肉、歯槽骨などが不安定で、そのままの状態にすると歯は元の悪い歯並びにもどろうとします。これではせっかく費用と長い期間をかけて治療したのが、水の泡になります。

これを防ぐ目的で、保定装置というものを使います。保定装置には何種類かあります。大きく分けると、取り外しができるリテーナーと歯の裏側にワイヤーを直接接着する固定式のものがあり、いずれも一般的には2年くらいの使用が必要です。

歯は矯正治療をしなくても移動する!?
歯は矯正治療をしなくても、咬み合わせや、親不知(おやしらず)が生えだす力、歯周病などの影響によって移動することがあります。一度きれいになったからといって、定期検診を受けなかったり、指示されたとおりにリテーナーを使わなければ、歯ならびが元に戻ってしまうこともあります。

また、スペースのないところに無理に非抜歯で歯を並べても、歯並びは安定しません。歯は、唇や舌、頬などの筋肉の圧力に支えられており、これらのバランスとれば場所に並ぶからです。

あごの筋肉の重要性
口呼吸や、舌を前に突出する癖があったり、咀嚼筋の活動が強すぎたり弱すぎたりすると、新しく獲得した歯並びと筋肉の圧力のあいだに整合性が得られないため、歯並びを安定させることができません。

このような場合には、歯並びの改善と同時に、筋肉の機能訓練を行うこともあります。最終的には、上下の歯の咬み合わせが歯並びの安定に決定的な影響を与えます。適切な咬合調整が、後もどりを防ぐ意味でも重要なのです。

矯正治療前の親知らずの抜歯
ところで、永久歯は、上下左右すべての歯を合わせると32本あります。このなかで、いちばん最後に生えてくるのが親不知で、歯列のもっとも後方に生えてきます。そのため、あごの骨が細くなった現代人、とくに若年者では、真っ直ぐに生えてくること自体が稀になりつつあります。

しかも最近では、親不知の手前に生えるべき第二大臼歯でさえも、正常に生えることができずに骨のなかに埋まってしまうケースが増えています。

正常に生えてこず、しかも咬み合わせのできない親不知は、手前にある第二大臼歯にぶつかり、歯根吸収(歯根が溶けて短くなること)や虫歯を引き起こしたり、歯根のまわりの歯槽骨を溶かしたりします。また、歯根の形成期には後方から歯列を押し、前歯の歯並びがクラウディング(乱杭歯)になるなどの悪影響をおよぼします。

したがって、あごの骨が十分に発達しているか、歯のサイズが小さく、上下の親不知が正常に咬み合わさっている場合を除いては、後もどり防止のためにも、親不知は抜歯したほうがいいと考えられます。

どうやって歯が動く?
通常、歯は歯槽骨のなかに植わっていて、歯根膜と呼ばれる繊維で歯根と歯槽骨が互いに結ばれ、揺れがなく、しっかりとしています。この歯を動かすために矯正力をかけると、破骨細胞と骨芽細胞が現れ、骨の吸収と添加を繰り返しながら徐々に歯が動いていきます。

歯の移動に必要な力は意外と弱く、個人差がありますが、歯に加える力は50~150グラムくらいが、もっとも効率よく歯が動くために必要だと言われています。一度にたくさん動かしたいと思っても、歯は一日に0.1ミリほどしか動きません。力まかせに動かそうとしても痛みを感じるだけで、期待するほどには動いてはくれません。

矯正治療により歯の根っ子が短くなる場合も
とくに、矯正装置をつけたばかりのときは、歯に違和感や軽い痛みを生じやすいのですが、あらかじめ説明を受けていた程度であれば、痛みは徐々になくなるので問題はありません。

しかし、無理に大きな力を加えると、歯根が溶けて短くなる歯根吸収を生じることがあります。歯周病になると歯槽骨が溶けて歯がグラグラしますが、矯正治療による歯根吸収では、歯槽骨ではなく、歯根が吸収されて短くなるため、歯がぐらつくようになるのです。
これでは、歯はきれいに並んでいても、グラグラするので痛くて咬むことができません。さらに状態がひどくなると、抜歯せざるを得ないこともあります。

治療中の定期的なレントゲン確認も大事なポイント
歯根吸収は、無理に強い力を加えた場合や、長期間の矯正治療による歯の移動、極端に前歯を押し込んだりすることで生じやすくなります。無理な治療計画が、痛みをともなう無茶な歯の移動によって起こりやすいので、治療中に強い痛みを感じるようなときには注意が必要です。

また、歯の傾きや、歯根吸収が起きていないかどうかをチェックする意味でも、定期的なレントゲンでの診察が欠かせません。

目標に合わせた治療計画を立てることが大事です
矯正治療は、歯に弱い力をかけて、目的の方向に少しずつ動かして歯並びを整える治療です。治療の間隔は、およそ1ヶ月に1回程度、症例の難易度によって1~3年程度の治療期間を要します。こどもの場合は、成長発育を予測しながら治療を行います。

歯は6~7歳ごろから乳歯が永久歯に生え変わりはじめ、12~13歳で永久歯列が完成します。とくに、乳歯と永久歯が混合している時期は、歯が生え変わるので問題が生じやすいと言えます。また、この時期に行う矯正治療は長期化しやすいので、おもに前歯4本と6歳臼歯の改善に重点を置きます。

これを「Ⅰ期治療」と呼び、必要があれば、永久歯列が完成してから、仕上げの「Ⅱ期治療」を行います。このように目標に合わせて治療計画を立てないと、ずるずると期間が長くなり、その間、ブラッシングしにくいため、虫歯になるリスクがかなり高くなります。

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