臨床から生まれた新しい知見を世界へ ― BiTechOrtho
院長の中嶋です。私が代表を務める加速矯正をテーマとして日韓の歯科医師が集まったチーム 、BiTechOrtho の研究と臨床成果がアメリカ歯周病学会(AAP)の公式学術誌 Clinical Advances in Periodontics に掲載されました。
これは、日々の臨床から得られた知見をもとに行った研究が、国際的に評価されたことを意味しています。
Digitally guided corticotomy using a customized surgical template (Suya corticotomy utility template): A technique report

研究の概要
今回の論文では、コルチコトミー併用矯正をより効率的かつ安全に進めるための新しいアプローチとしてCAD/CAMによる外科用ガイドを用いた寿谷法コルチコトミーについて報告しました。
コルチコトミー併用矯正は成人矯正のリスクである
- 歯根吸収 Resorption
- 歯肉退縮 Recession
- 後戻り Relapse
のリスクを低減しながら歯の移動速度を上げる手法です。
加速矯正についてはスピード矯正研究会として症例集「加速矯正による治療期間短縮のコンセプト」をクインテッセンス出版から発表しています。加速矯正に興味のある先生はぜひお手に取って頂き、スピード矯正研究会で一緒に学びましょう。
BiTechOrthoが発表したSu-CUT(デジタルガイドによる寿谷法コルチコトミー)は外科処置の安全性と確実な加速効果を得るための精密な診断の上で成立された新しい手法です。
この「デジタルガイドによる寿谷法コルチコトミー」という新規性が有用だとアメリカ歯周病学会に認められたことになります。
患者の皆さまへのメリット
研究成果は学術的な意義にとどまらず、実際の治療にも直接結びついています。
- 世界基準で安全性と効果が認められた方法を導入できる
- 科学的根拠に基づいた治療により、将来の安定性に配慮できる
銀座矯正歯科では先代、深澤先生の頃から論文的根拠を重要視していましたが、臨床と執筆の両立は難しく、査読のある国際学術誌にまで論文投稿を行うことはなかなか大変です。
深澤先生と銀座矯正歯科の論文
私の代ではBiTechOrthoとして月星先生を中心に結果を出すことができ、大変嬉しく思います。銀座矯正歯科ではこうした研究活動を背景に、より安心な矯正治療を提供しています。
BiTechOrthoについて
BiTechOrtho は、加速矯正をテーマにした矯正歯科における「臨床と研究をつなぐプラットフォーム」です。 日々の診療で直面する課題を研究テーマに発展させ、その成果を再び臨床へと還元します。
BiTechは二つを掛け合わせること「加速x矯正」「アナログxデジタル」「日本x韓国」をイメージして命名しました。我ながら良いネーミングセンスだと思います( ´艸`)
BiTechOrthoのメンバーを紹介します。
福本卓真先生 日本矯正歯科学会認定医。寿谷法コルチコトミーインストラクター、PGI理事として矯正治療をメインに顎関節とかみ合わせをテーマとした総合歯科診療を生業としています。
月星陽介先生 日本矯正歯科学会認定医。たぶん今年中に臨床医(臨床指導医)も取得するはず。歯科業界ではその名を知られた月星歯科クリニック(愛知県)で矯正治療を担当。東北大学を卒業後、大阪大学で矯正、テキサス大学ヒューストン校で歯周病学を学んだ世代を代表する矯正医です。
Jaewon Choi先生 韓国ソウル市江南区でバノバギイレブンデンタルクリニックを開業、日本からも多くの患者さんがChoi先生の治療を受けに行きます。鶴見大学への大学院留学中に深澤先生の下でコルチコトミー併用矯正を学び、銀座矯正歯科では私の兄弟子にあたる先生です。

BiTechOrthoメンバー 韓国Ray社にて
BiTechOrthoの実習器具はオリジナルロゴ入りです



加速矯正を基礎から臨床まで学びたい先生方へ
BiTechOrthoは2026年にも日韓共催コース、希望者にはグアムカダバ―実習を企画しています。参加費用はそれなりに高額ですが、加速矯正は「歯が動くこと」を基礎から学ぶ必要があります。ご自身の臨床に加速矯正を取り入れたい先生はメンバーのInstagram等からお問い合わせください。
出典
- 論文全文はこちら:Clinical Advances in Periodontics(AAP公式誌)
掲載誌:Clinical Advances in Periodontics(アメリカ歯周病学会, AAP) - スピード矯正研究会症例集「加速矯正による治療期間短縮のコンセプト」
クインテッセンス出版株式会社 - スピード矯正研究会HP
まとめ
「臨床から生まれた新しい知見を世界へ」――
この姿勢こそが、銀座矯正歯科とBiTechOrthoの矯正治療におけるこだわりです。
スピード矯正研究会は10年以上の歴史の中で加速矯正の定義付けや分類を行っています。BiTechOrthoでも丸一日かけて「なぜ歯は動くのか」という基礎から学び直します。歯を早く動かして治療期間を短縮するためには、歯を動かす向きやチカラの検討も重要です。光や振動の器材を患者さんに渡すだけで達成できるほど甘いものではないですね。
私たちはこれからも研究と臨床を両立させながら、患者の皆さまに安心できる治療をお届けします。