アンカースクリュー矯正

Anchor screw

高精度な歯の移動技術 スクリューを埋め込み、歯を動かす

こんな症状・お悩みに

  • 歯の固定源に
    不足のある方
  • ヘッドギア
    (顎外装置)を
    着けられない方
  • 口元の審美改善
    を求める方

矯正治療では、歯を動かす際に「移動対象の歯」と「固定源となる歯」の両方に力がかかります。そのため、意図しない歯の動きを防ぐには、安定した固定源が必要です。アンカースクリューは、チタン合金製の小さなネジを顎の骨に埋め込み、強固な固定源として用いることで、移動させたい歯だけに力を加えることができます。これにより、精密かつ効率的な歯の移動が可能になります。
銀座矯正歯科では治療目標達成に必要な場合にのみアンカースクリューを使用しています。

アンカースクリュー矯正の特徴

Features

01

顎の骨にネジを埋め込んで歯を動かす治療方法

矯正治療において、歯を動かす際には固定源が必要となります。
従来は奥歯やヘッドギアなどを利用して固定源を確保していましたが、これには限界がありました。
そこで登場したのが「矯正用アンカースクリュー(Temporary Anchorage Device: TAD)」です。これは顎の骨に小さなスクリューを埋入し、強固な固定源として使用する装置です。

02

計画的な歯の移動が可能

アンカースクリューが広く矯正治療に併用されるようになったのは2000年代の初め頃です。当時はスクリューの種類や形状について様々な議論がされていましたが、脱落することも多く安定に欠ける治療オプションでした。
現在は多種多様なアンカースクリューとその応用が広まり、矯正治療の確実性の向上に寄与しています。
アンカースクリューを併用しなくとも矯正治療を行うことは可能ですが、矯正治療では、歯を動かす力が加わると、固定源となる歯も反作用で動いてしまうことがあります。この不要な動きを防ぐことが、治療の精度や期間に大きく影響を与えます。
アンカースクリューを使用することで、固定源を骨に直接求めることができ、より計画的な歯の移動が実現します。

03

高い固定力による治療精度の向上

アンカースクリューの最大の目的は、「不必要な歯の動きを防ぎ、治療の精度を高めること」です。「アンカースクリューで矯正治療が短縮される」といった宣伝を見かけることがありますが、実際に加速矯正を実現するには、アンカースクリューとはまったく異なる手法が必要です。
たとえば、小臼歯の抜歯によって生じるスペースは平均で約8ミリです。この8ミリのスペースに対し、固定源となる歯と移動させる歯が互いに近づく形でスペースを閉じる場合、それぞれが4ミリずつ移動することになります。一方、アンカースクリューを用いて、8ミリすべてを移動させる歯だけで閉じようとすると、移動距離が倍になるため、4ミリずつ移動する場合の約2倍の時間が必要になります。
つまり、アンカースクリューを併用したからといって、矯正治療の期間が短縮されるわけではありません。

アンカースクリューは万能ではない?

アンカースクリューは、矯正治療の可能性を大きく広げる画期的な装置ですが、適切な診査と管理が不可欠です。スクリューの埋入部位の選定や力のかけ方を誤ると、脱落や炎症のリスクがあるため、慎重な治療計画が求められます。
ほとんどのアンカースクリューはチタン合金で作られており、チタン合金は生体に対して比較的安定性の高い材料として知られています。ただし、まれにチタンにアレルギーを持つ方もいます。
また、スクリューの植立部位と矯正力を加える部位とのフォースシステムを十分に検討しなければ、目的とする歯の移動は得られません。本来、この植立は矯正治療の担当医が行うべきですが、大学病院の矯正歯科ではアンカースクリューの植立に関するトレーニングが行われていない場合が多く見られます。
植立は外科的処置であるため、解剖学的知識と十分な経験を備えた歯科医師が行うべき施術です。銀座矯正歯科では、専門的な知識と技術を有する歯科医師が担当するため、安心してアンカースクリュー治療を受けていただくことができます。

Evaluation of the success rate of single- and dual-thread orthodontic miniscrews inserted in the palatal side of the maxillary tuberosity. J World Fed Orthod. 2022 Jun;11(3):69-74.
D-PAS Jp type Fを使用した上顎大臼歯遠心移動-----山田邦彦、深澤真一 矯正臨床ジャーナル/2020年5月号

適応ケース

Indicated cases

  • 抜歯矯正における前歯の後方移動
    抜歯スペースを利用して前歯を後退させる際、臼歯が前方に動かないように固定します。
  • 開咬の改善
    臼歯の圧下(Intrusion)を行い、前歯の咬み合わせを改善します。
  • 非抜歯矯正の選択肢を広げる
    臼歯の遠心移動によって、非抜歯でも十分なスペースを確保できます。
  • ガミースマイルの修正
    上顎前歯を圧下することで、歯肉の露出を抑え、審美性を向上させます。

矯正装置の種類

Type

  • スクリュータイプ 一般的に使用頻度が高い歯科矯正用アンカースクリュー。小型で術後の腫れも少ないことが特徴です。
  • プレートタイプ プレートタイプは大きなインプラントなのでスクリュータイプよりも多くの歯をいっぺんに移動することができます。その反面、腫れが大きくなることが欠点です。

治療の流れ

Flow

  1. 01
    治療のご相談・予約
    初診専用Web予約ページ、電話から初回カウンセリングをご予約いただきます。
  2. 02
    カウンセリング
    事前にお送りするカウンセリングシートをご記入いただき、
    トリートメントコーディネーターによるカウンセリングでお悩みを伺います。
    ※カウンセリングは完全予約制になります。
  3. 03
    精密検査・診断
    歯科レントゲン撮影、CTレントゲン撮影、口腔内写真撮影、歯型の採取などの各種検査、医師による診断を行い、患者様の症状を確認します。
  4. 04
    治療計画の説明インフォームドコンセント
    患者様の症状や治療のご要望をもとに、
    矯正治療開始から完治までの流れをご提案します。
  5. 05
    虫歯、歯周病、プラークコントロール等の治療
    矯正治療を開始する前に、虫歯や歯周病、
    プラークコントロール等の治療を行い歯を健康な状態にします。
  6. 06
    矯正装置の装着
    いよいよ矯正装置を装着します。
    3〜4週間ごとに来院いただき、装着後のメンテナンスします。
  7. 07
    矯正装置の除去
    計画した治療期間、
    または患者様の矯正状況を確認しながら矯正装置を外します。
  8. 08
    保定後戻り防止
    その後は保定装置と呼ばれる装置を装着し、歯並び、噛み合わせの安定を図ります。数か月に1度来院いただき、歯周組織が落ち着き全体が安定したら、保定装置を外して治療は終了です。

矯正実績

CASE

Before
After

主訴 反対咬合

治療期間
2年3ヶ月
治療費
1,350,000円(税込)
治療内容
舌側矯正+下顎左右側智歯部へのインプラント埋入
患者は舌側矯正・下顎インプラント埋入を希望。上下顎前歯の正中の一致、良好なかみ合わせを獲得することができた。
Before
After

主訴 開咬

治療期間
1年2ヶ月
治療費
1,350,000円(税込)
治療内容
舌側矯正+下顎左右側智歯部へのインプラント埋入+白湯上顎結節へのインプラント埋入
患者は舌側矯正・上下顎インプラント埋入を希望。上下顎前歯の正中の一致、良好なかみ合わせを獲得することができた。