開業医の朝活といえば論文抄読 ABOJC2025
開業医の朝活といえば論文抄読と昔から相場が決まっていますが(んなこたない)、大学医局に所属した経験が有る先生でなければ論文抄読の経験はあまり無いものでしょうか。日本矯正歯科学会の認定医取得基準にはミニマムとして「講義:40 時間+30 時間=70 時間、基礎実習:6 時間×90 ⽇=540 時間、演習セミナー:2 時間×70 症例×2 年=280 時間、臨床実習:1 時間×70 症例×25 回=1,750 時間」という細則があり、その中で論文抄読は必ず行われるものです。故に学術論文や臨床報告に触れる機会は大学医局在籍中には日常的に行われるものの、医局を離れてしまうとそのような機会は極端に減ってしまうのです。
ABOJCとは

American Board of Orthodonticsは米国矯正歯科委員会として米国内外の矯正医に認証を与え、認証資格取得要件として論文抄読があります。ABO取得には症例の模型診査、筆記試験や口頭試問をパスしなければならないので、米国の矯正医は必死に勉強するそうです。米国には同様に歯周病や補綴など専門のBoard Certified Doctor制度があり、米国留学経験のある日本の先生もBoardを所有している方がいます。
大学の後輩でUT Houstonにて歯周病学の教鞭を執るDr. Seiko Min は日本の歯科医師向けにJournal Clubと題して歯周病学の古典から最新の文献を解説するプライベートグループを持っています。私も第2クールまで参加しました。Min先生は超多忙の中、毎年日本でセミナーを開いているので興味のある先生は是非参加して下さい。矯正医も受講可能です。
Dr.MinのJournal Clubにヒントを得て、ABOの必修論文抄読会を作ろうと2021年春に立ち上げたのが最初のABO Journal Club(ABOJC、1期)です。毎週木曜日にABO必修の93本の論文を1本ずつ分担して抄読し、最終回は2024年5月9日に金尾晃先生の担当でABOJCは活動を終えました。ABOJCは大学や専門の垣根を越えてSNSで広くメンバーを集めた画期的な企画でしたが、丸3年の長期企画に参加し続けることは容易ではなかったと思います。最終回の参加者は私を含めて4名でした。
ABOJC2025について
現在のABOJC2025は1期からの改善・変更として①少数の矯正専門開業医のみでメンバーを構成し、②月2回、朝6時半から30分、③メンバーはルールの下で医院コンテンツとして2次利用可能としています。論文総数は66本となり前回よりもコンパクトになりましたが、やはり3年コース…長い(笑)
2025は1期の立ち上げメンバーで始めました。論文集めや全訳は生成AIによって随分効率が良くなったものの、システム構築や諸々の管理は全て江間秀明先生(江間ファミリー歯科・矯正歯科/山梨県)が担当。この手の技術的な事は江間先生に丸投げしていますし、私のカウンセラー的な存在でもあるので本当に頼りにしています。そして私が忘れそうなところを大体先回りしてフォローしてくれる山田邦彦先生(F-ACE矯正歯科/埼玉県川越市)はABOJC2025だけでなく、スピード矯正研究会やすべてのセミナーで私をサポートしてくれています。他には氏井庸介先生(氏井矯正歯科クリニック/奈良県奈良市)、島和弘先生(しま歯ならび矯正歯科/大阪府堺市)、田川淳平先生(岡山矯正歯科/岡山県岡山市)、山地晃二郎先生(ヤマヂ歯科・矯正歯科クリニック/福岡県北九州市)、吉野智一先生(STELLA矯正歯科クリニック/埼玉県三郷市)という全く異なる出身大学と開業地域のメンバーです。
ABOJC2025は現在の活動の中でメンバー募集はしていませんが、3年掛けて朝活論文抄読会というちょっとアレな企画に参加したい本気の先生はご連絡ください。参加には一定の要件が有りますので、検討いたします。
ABOJC2025のHPはこちら

今週のお花は…みかん。黄色は元気が出ますね( *´艸`)
監修者
中嶋 亮 | Ryo Nakajima
日本大学松戸歯学部卒業後、同大学大学院にて歯科矯正学を専攻し修了。大学病院での研鑽を経て、2012年より「銀座矯正歯科」に勤務し、数多くの裏側矯正や複雑な症例に携わる。2021年に院長、現在は理事長として診療にあたる。見た目の美しさと咬合機能の両立を重視し、特に舌側矯正やデジタル技術を活用した精密治療に注力。患者一人ひとりの生活背景に寄り添い、長期的な健康と自然な笑顔を引き出すことを理念としている。
【略歴】
- 1998年 富山県立富山中部高等学校卒業
- 1998〜2004年 日本大学松戸歯学部
- 2004〜2008年 日本大学大学院(歯科矯正学専攻)
- 2008〜2012年 日本大学松戸歯学部 歯科矯正学講座 助手(専任扱)
- 2012〜2020年 医療社団法人真美会 銀座矯正歯科 アシスタントドクター
- 2013〜2014年 ニューヨーク大学CDEP 矯正学修了
- 2014〜2018年 日本大学松戸歯学部 顎顔面外科学講座 兼任講師
- 2014〜2015年 カリフォルニア州立大学LA校CDEP 矯正学修了
- 2019〜2023年 日本大学松戸歯学部 歯科矯正学講座 兼任講師
- 2021年〜 医療社団法人真美会 銀座矯正歯科 院長
- 2022年〜 日本デジタル矯正歯科学会 理事・学術担当
- 2023年〜 日本大学松戸歯学部 歯科矯正学講座 クリニカルアドバイザー
- 2023年〜 Digital Dentistry Society Ambassador (Japan)
- 2023年〜 日本大学松戸歯学部 歯科矯正学講座 同門会副会長
- 2023年〜 RayFace (RayDent, Korea) Key Opinion Leader
- 2024年〜 医療法人社団真美会 理事長
【主な所属学会】
- ・日本矯正歯科学会(認定医)
- ・International Congres of Oral Implantrogists (ICOI) インプラント矯正認定医
- ・Digital Dentistry Society 日本アンバサダー
- ・先進歯科画像研究会(ADI) 歯科用CT認定医
- ・厚生労働省認定 歯科臨床研修指導医
- ・日本美容外科学会(JSAPS) 関連会員
- ・Orthopaedia and Solutions マネージャー
- ・(株)YDM 矯正器材アドバイザー
- ・ABO Journal Club 主宰
- ・Cutting Edge of Digital Orthodontics 主宰
- ・BiTechOrtho代表
- ・Orthodontics Institute Japan代表
【論文・学会発表】
- ・加速矯正とアライナー治療による治療期間のコントロール ザ・クインテッセンス2022年11月号
- ・進化するデジタル歯科技術Extra モディファイドコルチコトミー法とSureSmileによる矯正治療 日本歯科評論 81(8)=946:2021.8
- ・進化するデジタル歯科技術 : 3Dプリンターは臨床をどう変革するか(4)矯正治療における3Dプリンターの臨床応用 日本歯科評論 81(4)=942:2021.4
- ・矯正用光重合型レジン系接着システムの接着性能 接着歯学2013年31巻4号P159-166
- ・歯科矯正学における3D診断および治療計画(翻訳) クインテッセンス出版
- ・基礎から学ぶデジタル時代の矯正入門(翻訳統括) クインテッセンス出版
- ・矯正歯科治療のためのコルチコトミー(翻訳)
- ・Effects of… cells in vitro. J Periodontal Res. 2008 Apr;43(2):168-73.
- ・Evaluation…lary tuberosity. J World Fed Orthod. 2022 Jun;11(3):69-74.
- ・T-helper 1…essive orthodontic forces. Oral Dis. 2012 May;18(4):375-88
- ・IL-8 and M…s in periodontal tissues. Oral Dis. 2011 Jul;17(5):489-98.
- ・Effects of…dontal ligament cells. Inflamm Res. 2011 Feb;60(2):187-94.
- ・Effects of…igament cells. Orthod Craniofac Res. 2009 Nov;12(4):282-8.
- ・Levels of …cells in vitro. Orthod Craniofac Res. 2006 May;9(2):63-70.
- ・日本デジタル歯科学会招待講演(2024年)
- ・東北矯正歯科学会招待講演(2025年)
- ・加速矯正による治療期間短縮のコンセプト クインテッセンス出版
- ・Levels of …cells in vitro. Orthod Craniofac Res. 2006 May;9(2):63-70.