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【徹底比較】世界の主流「マウスピース」と、今日本で増えている「裏側矯正」。データで選ぶあなたに最適な治療法

矯正治療を考えたとき、一番の悩みどころは「どの装置にするか」ですよね。

「目立たないのがいいけれど、マウスピースで本当に治るの?」

「裏側矯正は話しにくいって聞くけど、実際どうなの?」

今回は、世界的な研究データと日本の矯正専門医に相談に来院される方の最新の傾向、そして各装置のスペック比較を交えて、後悔しない選び方を解説します。

1. 世界のエビデンス:成人の「80%」がマウスピースを選ぶ理由

まず、世界のトレンドを見てみましょう。

近年の矯正歯科領域におけるシステマティックレビューによると、成人患者の約80〜87%が従来のワイヤー矯正よりも、透明なマウスピース型矯正装置(クリアアライナー)を選好するという結果が出ています (Alansari et al., 2019; Paim et al., 2024)。

その理由は明確です。

  • 審美性: 透明でほとんど見えないため、見た目の満足度が非常に高い (Saccomanno et al., 2022)。
  • 快適性: 従来の装置に比べて痛みが少なく、食事の時に外せるメリットが大きい。

しかし、この「外せる」というメリットには、医学的に見逃せない「落とし穴」があります。

ドイツで行われたアライナーの協力度(コンプライアンス)についての論文を見てみましょう。

この論文ではフルコンプライアンスが36%、フェアコンプライアンスが39%、そしてプアコンプライアンスが25%。

とのことです。ドイツも日本も真面目な国民性かと勝手に想像しますが、数値はそこまで大きく差はないものと考えています。また、矯正装置の使用時間は自己申告に対し、実際には1~2時間少ないという報告もあります。

アライナーでしっかり結果を出すには十分なコンプライアンスが不可欠であることは言うまでもありません。選ばれることと、実際の使用感では真逆の結論ということですね。

2. なぜ今、日本で「裏側矯正(リンガル)」が再評価されているのか?

世界中でマウスピースが流行する一方で、日本では「裏側(舌側)矯正」を希望される患者さんが安定して増えています

その背景には、マウスピース矯正特有の「管理の難しさ」に関する医学的な事実があります。

2021年の研究 (Timm et al., J. Clin. Med.) によると、マウスピース矯正の成功は「患者さんのコンプライアンス(ルールの遵守)」に完全に依存しており、1日22時間以上の装着が必須とされています。

日本社会では子供から大人まで皆さん日常が忙しく、「食事と歯磨き以外は常につけている」という生活は想像以上にハードルが高いものです。

そこで、「装置が固定されているから、サボりようがない(自己管理不要)」かつ「ほとんど見えない」という裏側矯正の価値が、改めて見直されているのです。

そもそも裏側矯正のオリジナルは日本にあります。むしろ裏側矯正は日本のお家芸、と言っても過言ではありません。いかがでしょう。なんとなく裏側矯正に愛着が湧いてきませんか?この辺はまたInstagram liveなどで解説します。

3. 【図解】3つの装置を徹底比較

では、それぞれの特徴を整理してみましょう。「表側」「裏側」「マウスピース」の違いを表にまとめました。

特徴表側ワイヤー矯正裏側(舌側)矯正マウスピース矯正
見た目△ 目立つ
歯の表側に装置がつきますが、白い装置を選べば目立ちにくくなります。
◎ 見えない
歯の裏側につくため、正面からは全く見えません。
◯ 目立ちにくい
透明ですが、近くで見ると装着していることは分かります。
適用症例◎ 幅広い
重度のデコボコや抜歯が必要なケースにも対応可能。
◯ 幅広い
ドクターの技術が必要ですが、表側と同様に難症例にも対応可能です。
△ 制限あり
軽度〜中等度に適しています。大きく歯を動かす難症例は苦手な場合があります。
自己管理◎ 不要(楽)
固定式のため、患者様による管理は不要です。
◎ 不要(楽)
固定式のため、付け忘れの心配がありません。
× 必要(大変)
1日20時間以上の装着が必要。管理不足は治療失敗に直結します。
痛み・ケア装置による口内炎ができやすい。歯磨きは丁寧に行う必要あり。最初は舌に当たる違和感や発音のしにくさがあるが、慣れます。痛みは比較的少ない。外して歯磨きができるため清潔。

4. あなたはどっち? エビデンスで選ぶ「正解」

A. マウスピース矯正が向いている方

  • 几帳面な性格で、1日22時間の装着ルールを数年単位で守り抜く自信がある方。
  • 軽度〜中程度の歯並びの乱れの方。
  • 痛みを最小限に抑えたい方 (Saccomanno et al., 2022)、とありますが実際に私がインビザライン治療を自分自身に行っていた時はステージを上げるときに涙目になっていました。結論、どの装置を選んでも痛くなくはないのです。

B. 裏側(舌側)矯正が向いている方

  • 「絶対に」周りにバレたくない方。
  • 忙しくて自己管理に自信がない、あるいは「治療はプロに全任せしたい」という方。
  • 歯並びの乱れが大きく、マウスピースでは難しいと言われた方。

まとめ

「世界のエビデンス」はマウスピースの人気を示していますが、「医学的な確実性」と「ライフスタイルへの適応」を考えると、日本では裏側矯正が選ばれ続けている理由も納得がいきます。

当院では、流行だけで勧めることはありません。

あなたの歯並びの状態と、ご自身の性格や生活リズムに合わせて、「最も確実にゴールにたどり着ける装置」をご提案します。

迷われている方は、ぜひ一度カウンセリングにお越しください。


参考文献:

監修者

銀座矯正歯科 院長 中嶋 亮|東京都で裏側矯正を専門に行う矯正専門歯科「銀座矯正歯科」

中嶋 亮 | Ryo Nakajima

日本大学松戸歯学部卒業後、同大学大学院にて歯科矯正学を専攻し修了。大学病院での研鑽を経て、2012年より「銀座矯正歯科」に勤務し、数多くの裏側矯正や複雑な症例に携わる。2021年に院長、現在は理事長として診療にあたる。見た目の美しさと咬合機能の両立を重視し、特に舌側矯正やデジタル技術を活用した精密治療に注力。患者一人ひとりの生活背景に寄り添い、長期的な健康と自然な笑顔を引き出すことを理念としている。

【略歴】

【主な所属学会】

【論文・学会発表】